「あの人なんか怖そう」「きっついこと言うな」。テレビなどを見ていると、ついそう思うことはあるかもしれません。しかし当事者も苦悩しています。数々の番組に出演するなかで、奈美悦子さんが感じたイメージづけについて、考えさせられるインタビューになりました。(全5回中の5回)
バラエティ番組の出演でなぜか「怖いイメージ」が
── 西野バレエ団の一員として16歳でデビューし、絶大な人気を博した奈美悦子さん。その後バラエティに出演し、歯に衣着せぬ発言で注目を集めるようになりました。
奈美さん:新幹線の中で、明石家さんまさんと偶然会ったのが、そもそもの始まりでした。お互い奈良県出身で、地元の話で盛り上がったのを覚えています。そのとき、さんまさんに「『さんま御殿』おもしろいですよね、今度出してくださいよ!」って言ったら、「ええか?バラエティやったことないんやろ?」なんて言いながら、番組に呼んでくれて。バラエティの経験はなかったけれど、さんまさんがうまいこと話を拾ってくれたのがよかったようです。そのころからバラエティの仕事が少しずつ入るようになりました。
でも、バラエティでいろいろ自由にしゃべっていたら、怖いイメージがついちゃったみたい。テレビ局の楽屋で出番を待っていると、「今日はよろしくお願いします」と、若いタレントさんたちが挨拶に来てくれるじゃないですか。私が「よろしくね。わざわざありがとう」と返すと、扉が閉まったとたん「怖くなかった!大丈夫だった」って、マネージャーに言っているのが聞こえてくるんです(笑)。私はどれだけ意地悪だと思われているのだろうと…。
あるとき『さんま御殿』に若いタレントと熟女タレントが集合したことがあって、さんまさんが「奈美さん、若い子をいろいろいじめているんちゃうの?」なんて言ったら、若いタレントさんたちが口をそろえて「めちゃめちゃ優しくていい人です!」と言ってくれて。「ほら見てみなよ!」という気持ちでしたね。
コメンテーターは難しい「明日はわが身の思いも」
── ワイドショーではコメンテーターとしても活躍されていました。バラエティとはまた違った発言が求められるのでは?
奈美さん:最初は「やりたくない」と伝えていたんです。だって、タレントの悪口を言わなければならないじゃないですか。たとえば、タレントの子どもが不祥事を起こしたりすると、きついことを言わなければならなかったりもする。でも、タレント同士、明日はわが身で、次は自分に回ってくるかもというものがある。なので、そこは番組にも配慮してもらって、「将来があるのにもったいないですよね」と軽く流して済ませたこともありました。そういう意味ではおもしろくなかったと思うけど。それでもやっぱり「はっきりものを言う」とは、言われていましたね。
── コメンテーターを務めるうえで、参考にした人、勉強したことはありますか?
奈美さん:そういうことはなかったですね。誰か他人を参考にしてもマネになるだけだから、意識して見るようなことはなかったと思います。ただ、放送禁止用語だとかタブーとされることは昔もいろいろあって、それは必死に覚えました。最初に放送禁止用語がファックスで送られてきて、「どれだけ話せないんだろう」と驚いたくらい。
初めてコメンテーターとして番組に出演したときは、事前に局でリハーサルもしています。「こういう話題があって、こうなったらどう答えますか?」と、レクチャーを受けて。コメントをするにしても、やたらとしゃべって他の方と被ると聞き苦しくなってしまう。だから、ほかの方が息継ぎをしている間にパンと入るようにしようとか、そういうテクニックはワイドショーで学んでいきました。