ベンチャー企業のスピード感に「刺激を受けまくりです」
── 芸人×会社員というパラレルキャリアで働くメリットは、どのような点に感じますか?
アンゴラ村長さん:会社員としては、芸人として常に表に立つ仕事をしているので、広報用の動画でTikTokに出るときも、同じ知名度や拡散力を活用できる点がメリットだと感じています。
芸人として感じるメリットは、今いる会社がベンチャー企業なので、私が月に1、2回出社するたびに、新しいプロジェクトを始める計画が進んでいたり、「今こういうこと考えているんだ」というのを聞かせてもらえたりして、刺激を受けられることですね。とにかく社員の人たちがみんなやる気がある人ばかりなので、すごいスピードで新しいことが始まって、試行錯誤して、っていうのを繰り返していて。しっかり考えながら進めているのを見ると、「自分は芸人として、このスピード感でやれているかな」って振り返ることができて、すごく刺激になります。
── 逆に、芸人の仕事が忙しく、思うように会社員の仕事ができないといったことで、同僚との関係性が気まずくなったりしたことはありませんか?
アンゴラ村長さん:それはないですね。そもそも最初の面接のときに、私が開口いちばん「芸人をやりながら、働きたいです」とお伝えしたので。もともと「ド変態募集」って打ち出してる会社だったので、「いいね!」とスッと入れてもらえました(笑)。
月に1度も出社できないほど忙しくなっても、ずっと籍を置かせてもらっているので、私としても、ずっと広告塔として恩返しできたらいいなっていう気持ちがあって。社長が「最悪、芸人として食べられなくなったら、うちの会社に戻ってくればいいから。安心して思いっきり芸人をやって」って言ってくださるような会社なので、お言葉に甘えて、好きにやらせてもらっています(笑)。
── いい会社ですね。今後、芸人×会社員のパラレルキャリアとして、こんなことにチャレンジしてみたいという思いはありますか。
アンゴラ村長さん:今、広報として動画を撮る仕事を進めているんですが、私自身が「アンゴラ村長」として撮影している動画と、どうにか融合した試みができないかなって。これは会社の人と春ごろから話していることなんですけど。
たとえば、会社を使って「オフィス」っていうシチュエーションで、ショートコントドラマを撮るとか。「にゃんこスター」だけでなくほかの芸人さんも巻き込んで、おもしろくてクオリティの高い動画を作れないかなと、いろいろ考えています。会社にとっても、よりおもしろいものがSNSにアップできれば注目を集められますし、芸人として活動しながら会社にも貢献できるんじゃないかと思っています。
PROFILE アンゴラ村長さん
あんごら・そんちょう。2015年、早稲田大学在学中にデビュー。17年、スーパー3助とお笑いコンビ「にゃんこスター」を結成、同年のキングオブコントで準優勝しブレイク。今年5月には、初のデジタル写真集『151センチ、48キロ』(講談社)を発売し、話題に。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/アンゴラ村長