時には叱ることも「ママ友宅が逃げ込み先に」

── SNSとのつき合い方に関しても、お子さんに伝えていることはありますか?

 

近藤さん:本が好きな子なので、スマホやYouTube、SNSなどにまだあまり興味を示していなくて。テトリスなどの簡単なアプリはいくつか私のスマホにダウンロードしているので、ご飯を食べに行ってなかなか料理が出てこないときに「やってもいい?」と聞かれたら「いいよ」とスマホを渡してゲームを楽しむことで、今は満足しているようです。ただ、マイペースな息子とはいえ、いつかはデジタルに興味を持つ時期は来ると思うので、周りのサンプルをすごく大事にしています。

 

こちらは情報弱者ですが、子どもたちはデジタルネイティブで育っているので、ママ友たちと「どうしてる?」といつも話し合って情報を集めています。ママ友から、中学校入学時にお子さんにスマホを与えたらお友だちと連絡を取ることに夢中になって、今まで家族旅行を楽しみにしていた娘が旅行先でもずっとスマホを触るようになって悲しいという話を聞いて、そういう弊害もあるんだなと知りました。ポジティブサイドとネガティブサイドの情報をできる限り集めて、総合的に判断していかなければならないと思っています。

 

── 教育にしっかりと向き合っている近藤さんですが、叱ることもありますか?

 

近藤さん:ありますよ。約束を守らなかったときは、心を鬼にして叱ります。廊下で凹んだ息子がウロウロしていたこともありました。同じマンションにお友だちやママ友がいるので「お互いが逃げ込み先としてあればいいよね」と言っていて、思春期にも対応できるように相談し合っています。

 

── そんなふうにママ友と良好な関係を築くコツがあれば、教えてください。

 

近藤さん:最初はママ友ってどうやって作るんだろうと思っていたのですが、きっとママ友という言葉がダメで。ママとしてだと、1個フィルターを挟んで相手と接しなければいけない。でも、人ってそんなに器用ではないじゃないですか?少し話せば感覚が合うかどうかはすぐわかるので、ママとしてではなく、近藤さや香として接するようにしています。

 

たとえば、私は今シングルなので、「こんな素敵な人に出会ったよ」とか「こんなかっこいい人を見たよ」とか恋愛の話をすると、ママ友が「久しぶりに恋愛の話聞いた!すごく楽しい!」と言ってくれたり、自分の格好悪いところやダサいところを「こんな恥ずかしいことをやらかした!」とそのまま伝えると「なんかしゃべりやすい」と思ってくれたり。子どもに嘘をついてはいけないと伝えている以上、自分も取り繕わずに接するようにしています。

 

夏休みの間は、息子が数日ほど実家に帰ることもあるんです。そういうときは夜時間があるので、ママ会ではなくて普通に女子会として、ママたちと集まってお酒を飲んだりするとすごく楽しくて。本当に友人だと思って接しているからこそ、情報も共有しやすくなりますし、LINEも気軽に送ることができるのかなと思います。

 

近藤さや香
お子さんが不在のときはママたちと飲みに出かけることも

── 恋愛のお話が出ましたが、恋をしたり再婚を考えたりすることもありますか?

 

近藤さん:恋愛といっても「イケメンを見つけた」というような話なので全然おもしろくはないのですが…。離婚をした以上は次に息子を巻き込んでしまうことは絶対によくないと思っているので、再婚はあまり考えていません。ただ、好きな人がいることは1日の彩りになると思うので、小さなことでもときめく感覚は忘れないようにしていたいと思っています。誰かを好きということだけではなく、趣味があるだけでもいい笑顔になると思うので、何に対してもときめきはずっと持っていたいです。

 

私は、いつも仕事の現場で「超イケメンアイドル好き!」と言っているんです(笑)。この仕事をしているとなかなか言いづらいのですが、好きでいることはすごく大事だと思います。イケメンアイドルを見るとやる気が出ますし、「あー!きょう1日、本当に楽しかったー!幸せだったー!」と、夜ビールを飲みながら思うんです。そんなふうに、毎日キュンとできることをなるべく多く見つけようと、キョロキョロしています。

「言葉狩りをしないことが一番大切」

── ラジオパーソナリティとして、どんなことを心がけていますか?

 

近藤さん:辞書を作る方や言語の先生をゲストでお呼びしたときに「言い回しが正しい・正しくないってあるけれど、言葉狩りをしないことが一番言葉を大切にすることなんだよ」というお話を聞いて、すごくいいなと思ったんです。もちろん、文章を読むときには正しい・正しくないがあると思うのですが、口語でしゃべるときは、あまり厳密に取り締まらなくてもいいかなと私も思っています。たとえば、「一段落」という単語を「ひとだんらく」と言う人に対して「正しくはいちだんらくだ」と指摘する人もいると思うのですが、指摘しなくとも感覚としてなんとなくわかりますよね。

 

ラジオはちょうど真ん中にいるメディアだなと思っていて。言葉づかいが正しくなければいけないけれど、何よりもしゃべりかけるように話したい。言葉の感覚を日々磨きながら、楽しむことを心がけています。

 

── 日々の放送のなかで「これはうまくいったな」と手応えを感じた場面があれば、聞かせてください。

 

近藤さん:毎日本当にいろいろな人たちと、いろいろなコーナーで「はじめまして」があるので、うまくいったと思うことはないかもしれません。スタッフが優しいので具体的にほめてくれて、私の自己肯定感を上げてくれるのですが、私が「そうだよね~」と共感してしまうと、そこで終わりだという気がしていて。ほめてくれるところはスタッフに任せて、うまくいかなかったところを聴き返すようにしています。

 

先日、授業参観があって、息子が算数の授業を受けていたんです。問題が何を求めているのかを考えるなかで「まとめ」「ねらい」と書かれていて。小学生でもひとつの問題に取り組むときに「ねらい」を設けていることを知り、今の私にたりないもののヒントになった気がしたんです。狙ったところに落とし込むことが押しつけになったり、答えを導くための質問になったりするのはいけないと思うのですが、ゲストをお迎えする前から自分なりの狙いを念頭に置いて下準備をしたほうが、よりまとまりのあるインタビューになるのかな、しゃべり手として次のステップへ行けるのかなと思ったりもしたんですよね。授業をちゃんと見なさいよ!という感じなのですが(笑)。

 

──お仕事が本当にお好きなんですね!

 

近藤さん:そうかもしれないです。人と話をすることがすごく好きで、やっと辿り着けた場所なので、今を大切にしていきたいです。始まれば必ず終わるということは理解していますが、すごく楽しくて幸せなので、目の前のことは日々噛みしめています。ラジオというメディアがとても好きなので、どういう形であっても今後もずっと関わっていけたらいいなと思っています。

 

PROFILE 近藤さや香さん

こんどう・さやか。1984年生まれ、愛知県出身。2009年からアイドルグループ・SDN48の1期生として3年間活動し、2016年からはFMヨコハマ『Lovely Day♡』 でラジオパーソナリティを務めている。プライベートでは結婚・出産・離婚を経て、現在は小学3年生の長男と2人暮らし。著書に『しあわせ護心術』(ワニブックス)がある。

 

取材・文/長田莉沙 写真提供/近藤さや香