SDN48の1期生としてデビューした近藤さや香さんは、グループ解散後、念願のラジオパーソナリティに抜てきされました。しかし、肝心の保活では「たくさん苦しんだ」と振り返ります。ベビーシッターはすべての会社に断られ── 。(全3回中の2回)
SDN48解散後「しゃべりをやりたいです」
── SDN48解散後、アナウンサーが多数在籍するセント・フォースの所属になった経緯を教えてください。
近藤さん:3年間ほどグループ活動をしたあと、それぞれの希望を聞く面談がありまして。私は「しゃべりをやりたいので、所属先はアナウンスに強い事務所さんでお願いしたいです!」というようなことを言ったんです。もちろんすべてが希望通りに進むわけではないのですが、ありがたいことに、今の事務所に推薦してくださったと記憶しています。28歳のときでした。
── 競馬番組のアナウンサーをしていた31歳のとき、結婚と出産を経験されました。産前産後はいかがでしたか?
近藤さん:産前は臨月まで仕事をしていて、出産3~4日前まで友人とご飯を食べに行っているくらい元気だったのですが、産後は「こんな地獄があるかいな」と思うほど大変でした。著書『しあわせ護心術』にも書いたのですが、骨盤が歪んでしまったからか、ひどい腰痛が続いたり痔で苦しんだりしました。
ほかにも、会陰切開をした部分が炎症を起こしたことも、帯状疱疹になったこともあって。帯状疱疹はお尻のほうまで出てしまったので、ゾンビのように床をはってトイレに行っていました。フィジカル的な痛みが一気に来てしまったけれど、日々は進むし、息子は育てないといけないし、本当につらかったです。
── 当時のご主人は、仕事柄あまりご自宅にいらっしゃらなかったんですよね。
近藤さん:そうですね。元夫はボートレーサーなので、家を不在にすることが多かったです。思い返すとワンオペという状態だったとは思うのですが、私はワンオペという言葉があまり好きではなくて。一方が息子のことをやって、その間にもう一方が別の何かをやるのは当たり前だと思っていたので、「元夫がいなかったから大変だった」と感じたことは一度もないんですよね。
ただ、一緒にいると「今は家にいるから、これはやってくれるはず」と勝手な妄想をして、やってもらえなかったときには「なんで家にいるのにやってくれないの?」という気持ちになってしまって。きっと元夫は「言ってくれなきゃわからない」という気持ちになっていたと思うのですが、初めての育児だったので、具体的に何をしてもらったら楽になるのかがわからなくて。
当時の私はすごく幼稚で、何が正解なのかすら考えられない状態だったので、「もう一緒にいないほうが絶対にいい。離れたほうが絶対にうまくいく」と考えるようになって、息子が1歳ぐらいのときに家を出て行くことにしました。物理的に離れてみると「あ!離れているほうがリズムを作りやすいぞ」と気づいて、離婚したほうがいいかもしれないと思うようになりました。
「物心がつく前に…」長男が2歳のころに離婚が成立
── お子さんが2歳のころに離婚が成立。その後はどのような関係を築いていますか?
近藤さん:元夫には定期的に「こんなことがあったよ」という感じで息子の写真を送っています。運動会後にかわいい写真をたくさん送ったら「運動会楽しいよね~」と返ってきたり、「かけっこで2番だったんだよ」と報告すると「でも、動画を見る限りだとほぼ1番じゃん!」と言ってくれたり(笑)。そういうやりとりはしています。息子のほうから元夫に直接アクセスしたいと言ってくることはまだないのですが、何か聞きたいことがあれば、私を通して言える関係であることは教えています。
もちろん、いろいろな離婚の形があるので、親権を持つ人が連絡を取らせたくない場合や子どもの安全を守るという意味で連絡をしない場合もあると思います。でも、息子の「かわいいよね」を一緒に共有することは嫌なことではないと思うので、運動会やお遊戯会、旅行などのあとにはなるべく写真を送って、会話の糸口になればと考えています。
── 離婚を考えるご夫婦のなかには、一歩がなかなか踏み出せないケースもあるようです。
近藤さん:そうですね。義務教育が終わってからとか、子どもが自立してからという考え方もあると思うのですが、私の場合は、もしかしたらそのころには自分に仕事がなくて自分自身が自立できなくなっている可能性もありますし、不条理だなと思いながら過ごすより、1日も早く今の状況から自分を解放してあげたいと思ったんです。何より、自分が楽しくない状態を子どもに見せ続けたくないと思うと、離婚をあと押しする理由のほうがどんどん出てきて。当時はまだ息子が赤ちゃんだったので「物心がつく前に、早ければ早いほどいい」と考えたのですが、多感な時期だったら果たしてどのような判断をするのかわからないですね。ケースバイケースなので、そのときどきによって正解は違うかもしれません。