2024年8月に緊急搬送され「半日でも遅れていたら命が危なかった」と医師に宣告された、ものまね芸人の山本高広さん。左結石性腎盂腎炎と診断され、手術を行いました。当時の状況や症状などを伺いました。(全4回中の1回)

予兆はあったが「小さな石が出たから…」

山本高広さん
入院直前、夏休みに石垣島へ(Instagramより)

── 8月に左結石性腎盂腎炎で入院、手術をされました。入院前から体に異変はあったのでしょうか?

 

山本さん:年に一度受けている人間ドッグで過去2回ほど「体内に石がある」と言われたことはありました。でも、正直、軽く考えていました。病院から特に治療を勧められたわけではありません。たまに尿に混じって小さな石が出ることがあったので、「石も出たみたいだし問題ないだろう」と高をくくっていたんです。

 

8月のある日、仕事で福岡に行くために羽田空港に行ったら、なんだかお腹がものすごく痛くなって…。呼吸が苦しく、お腹から背中にかけて立っていられないほどの痛みが走りました。2日くらい前から少し痛いかも…というのはあったんですが、そのときの痛みとはまったく違う。空港内の診療所にすぐに向かい尿検査をすると血尿が確認されて、痛みの具合からみても「尿管結石ではないか」と言われたんです。

 

そのような状態では飛行機に乗れないので、申し訳ないけれど仕事はキャンセルさせていただいて救急車で病院へ。CTを撮るとやはり腎臓に石があることがわかったので、痛み止めの点滴をした後に薬を処方され、「あとは水をひたすら飲んで石を出してください」と言われて帰されました。

 

── 帰宅が許されたんですね。でもよくはならなかったということでしょうか?

 

山本さん:2日くらいは痛み止めを飲みながら様子を見ていました。そして、3日目の深夜にどうにもならないほど痛くなり、近所の救命救急のある病院に駆け込んだんです。そこでもう一度、CT撮影と痛み止めの点滴をしたのですが、「体内で炎症が起きている」という以前とは違う診断結果に。

 

普通は腎臓で老廃物を取り除いて尿を精製し、尿管や膀胱を通って尿として体外に排出されるのですが、私の場合は結石が腎臓に引っかかっていて、尿が排出できない状態になっていました。細菌が尿で排出されないと体の中を逆流してしまい、そうすると敗血症になってしまうそうなんです。敗血症はひどくなると命にも関わるようで、自分はまさにその一歩手前の状態だったと。そのため、医師には手術と入院になるでしょうと言われました。

 

山本高広さん
初めての救急車、手術、入院を経験(Instagramより)

── そこからすぐに手術を?

 

山本さん:夜中だったため専門の医師がおらず、「明朝もう一度、泌尿器科を受診してほしい」と言われました。一番強い痛み止めが効いていたため痛みもだいぶおさまっていたこともあり、朝まで家で待機しました。病院が開いたと同時に、昨日の検査結果とともに再び体を診てもらうと、「左結石性腎盂腎炎」ということが正式にわかり、当日の手術が決まりました。

 

といっても、順番があるので手術を受けられるのはその日の5番目で、時間も夕方と言われました。さいわい痛み止めがよく効いたので、家に一度戻って入院準備をして、再度病院へ。そのときはあまり痛くはなかったので「本当に手術するんだよな?」とちょっと不思議な感じでした。

 

手術の開始から終わりまではあれよあれよという間でしたね。病院に戻ると予定より早く手術ができることになり、家族に連絡したのですが間に合わず。手術室に入ったら全身麻酔で、気づいたら意識がありませんでした。

出血で地獄のような痛みを経験し

山本高広さん
「意識が戻ってよかった!!」(Instagramより)

── 手術はどれくらいの時間かかったのでしょうか?

 

山本さん:手術時間は30分ほどで、そこから10分ほど経って目が覚めたら病室に家族が来ていました。手術は無事に終わったのですが、そこからが地獄で…。手術で尿管に管を通し、そこから石が出るのを待っている状態だったのですが、とにかくものすごい血が出るんです。手術当日はオムツをしていたのですが、それも真っ赤。頻繁にトイレに行きたくなるのですが、お小水を出すと痛いし、血尿だし…。でもトイレには行きたいという気持ちのせめぎ合いで、本当に地獄のような日々でした。

 

3日目くらいからようやく尿がピンク色になり、4日目にはふつうの状態に。手術から5日目でようやく退院となりました。

 

── 退院後もしばらく通院を?

 

山本さん:管から石が出たら完治なのですが、ちょうど昨日(9月19日時点)、病院でCTを撮ったら石がないことがわかり、ようやく管を外せました。退院する日に石のようなものが出たのでそれだったのでは…と僕は思ったのですが、それについては誰もはっきりとしたことは言ってくれていないので、真相は闇の中です。まあ、結果的にもう石はなく、元気になれたのでよかったです。

 

山本高広さん
「石なし管なし問題なし!!」(Instagramより)

── 結石ができた原因はあったのでしょうか?

 

山本さん:どうやら食生活が影響していたようです。実をいうと私は日頃からあまり水を飲まないのですが、水分不足は尿管結石には大敵のようで…。さらにブラックコーヒーが好きで水の代わりに飲んでいたのですが、これもあまりよくないそうで。コーヒーは水分を吸収するらしく、水分を摂らないうえに水分を吸収されるので石が作られたと思います。お酒を飲むときはとことん飲んでしまい、こちらも水分不足なるので、原因はいくつかあったみたいです。

 

あんな痛い思いをするのはもうイヤなので、あの日以来、ブラックコーヒーは怖くてまったく飲んでいません。ただコーヒーが悪いわけではなく、最近は水を入れた水筒を持ち歩くようにして、1日2リットルは水を飲むようになりましたね。なので今後は水を飲みつつコーヒーもいただき、上手くやっていきたいと思います。尿管結石では前立腺炎などの後遺症が起こることもありますが、さいわい後遺症はいまのところないので、今後も気をつけながら生活したいです。

 

PROFILE 山本高広さん

やまもと・たかひろ。1975年、福岡県生まれ。織田裕二、ケイン・コスギなどのものまねを得意とするものまね芸人。声優としても数多くの吹き替え映画やドラマ、アニメなどに出演。調理師免許を持っている。

取材・文/酒井明子 写真提供/山本高広