こちらも「イヤイヤ」してみると

 

── 試行錯誤しながら、育児の壁をポジティブに乗り越えていこうと工夫されているのが伝わります。

 

福田さん : イヤイヤ期の子どもとずっと接していると、どうしてもストレスがたまってしまうので、あまり真正面から受けとめず、できるだけ気楽にポジティブ変換するように意識しています。「イヤ~っ!」と言われたら、「そっかあ。わかるぅ~、嫌だよねえ」と明るく笑い飛ばして見たり、ずっとイヤイヤが止まらないときは「じゃあ、ママもふてくされちゃおう!」とおどけてみたり。逆に子どもが引くぐらい、こちらも「イヤイヤ」してみると、子どもが恥ずかしいことだと気づいて効果があるという話も聞いたことがあるので、一度、家の中でチャレンジしてみようかな、と考えたり(笑)。日々、模索しています。

 

それでも、壁にぶつかってモヤモヤするときは、先輩ママたちの体験談を聞いたり、いろんな記事を読んだりすることで、気持ちが落ち着くことも多いです。うちは今、子どもがひとりですが、2人目や3人目になると「こうあるべき」という呪縛から解き放たれるという話を聞き、心が少しラクになりました。

 

どの瞬間も、もう二度と来ない大切な時間だと思って、できるだけ楽しめればいいなという気持ちがあります。子育てを終えた人たちが、「子どもがママ、抱っこと言わなくなってすごく寂しい」と言うのを聞くと、「この子の重さを実感できるのは、いつまでだろう…」と想像して思わず泣きそうになっちゃいます。私、ちゃんと子離れできるのかな、今からちょっと心配です(笑)。

 

── まだまだ先のことですから、今から心配しなくても大丈夫かと(笑)。

 

福田さん:自分の気持ちを言葉で説明できない子供を相手に日常生活を進めることがこれほど大変だとは思いませんでした。世のお母さんやお父さん方はスゴイなあと心から尊敬します。子育てをしていると、自分の当たり前が、相手にとって決してそうではないことに改めて気づかされます。

 

PROFILE 福田典子さん

ふくだ・のりこ。1991年、福岡県生まれ。立教大学経営学部卒業後、2013年にRKB毎日放送に入社。16年6月に退社し、同年8月テレビ東京に入社。24年3月末に退社し、同年4月、歯科医療系のメディカルテック企業SCOグループに転職。広報ブランディング部COC(Chief Oral health Communicator)に就任。フリーアナウンサーとしても活動中。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/福田典子