「この重さを実感できるのはいつまでだろう」と想像すると涙ぐみそうになると語る、福田典子さん。イヤイヤ期真っ最中の2歳の子どもの子育てに、ハッと気づいたことがあるといいます。(全4回中の1回)

嘘をついているつもりはなくても

桜の季節に家族で散歩

── 現在、2歳になるお子さんがいらっしゃるそうですね。ちょうどイヤイヤ期のころでしょうか。

 

福田さん:まさにイヤイヤ期の真っ最中。どちらかというと、ママに対してのイヤイヤが強く、パパに対してはなぜかまったくないんです。それはそれで、すごく寂しいのですが(笑)。最初のころは、抱っこをしようとすると笑いながら逃げる程度だったのですが、だんだん「ママ、イヤっ!」と、近づくとギャーッと泣きだすように。どうしたらいいのかと悩み、保育園の先生に状況を説明したら「子どもは大人が思う以上に賢いから、言われたことを覚えているものですよ」と言われたんです。

 

── といいますと?

 

福田さん:実は、子どもがYouTubeを見たがってお風呂になかなか入らないので「後で見ようね~」とごまかしてお風呂に誘導し結局、お風呂から出た後もYouTubeを見せずに、そのまま寝かしつけることが多かったんですね。その繰り返しによって「ママは約束を守ってくれないんだ」と、子どもなりに納得のいかない気持ちが蓄積し、それが「ママ、イヤ!」に繋がっているのかもしれないと言われ、ハッとしたんです。

 

── 嘘をついているつもりはなくても、結果的に子どもの心を傷つけているとしたら、ちょっとせつないですね…。

 

福田さん:そうなんです。子どもの気持ちにはできるだけ寄り添いたいし、要望も聞いてあげたいけれど、生活リズムはできるだけ崩したくないという葛藤があって、結果的に、嘘を積み重ねてしまうことに。「親や大人の言うことは信用できない」と思われないように、約束はきちんと守るべきだと反省しました。親の都合で我慢ばかりさせるのもよくないので、どうしてもYouTubeを見たがるときは少しだけ見せて、子どもの気持ちをいったん満たしてから、次の行動に移るように。子どもの関心を惹きつけるために「お風呂に氷を投げ込んでみようか?」「お気に入りのおもちゃをアワアワにして洗ってあげようよ」などと提案しながら、どんどんお風呂場へと誘導することも(笑)。日々、いろいろなやり方を工夫しているところですね。その甲斐あって、だいぶママへのイヤイヤが収まってきました。

 

── ママの発想力も鍛えられますね。頭と心を柔らかくしておかなければ(笑)。

 

福田さん:子どもにとって、嫌なこと、めんどうくさいことを、いかに楽しい作業に変換できるかを考えながら過ごすという、今までとまったく違う脳みその使い方をしているので、毎日脳トレ状態です(笑)。

 

もともと私は、こだわりが強いところがあって、柔軟性に欠けると夫にも指摘されていました。アナウンサーという職業柄かもしれませんが、育児のやり方ひとつにしても、専門家の意見だけでなく、反対意見なども調べ、いろんな角度から徹底的にリサーチしたうえで、納得のいく選択をしているつもりです。「それって違うんじゃない?」と言われても、「いや、あれだけ時間をかけて調べたのだから、正しいに違いない」と、頑なになってしまうところがありました。

 

でも、育児はそれでは立ち行かないことの連続です。状況に応じて柔軟にやり方を変えていかなくてはいけません。「YouTubeを見せないのではなく、見せ方を考えてはどう?」と夫から言われ、たしかにそうだなと。夕食を食べたら、お風呂に入り、早めにベッドに入って、絵本を読み聞かせながら寝かせたい。だから、お風呂の前後にYouTubeを見せてダラダラさせたくないし、おもちゃも寝室に入れたくない。そんな自分の理想のルーティンにこだわりすぎていたんですね。