ステージが終わると床がパカっと開いてウィッグが…

「駆け抜けて軽トラ」の小野島徹さん(左)、餅田コシヒカリさん(右)
「駆け抜けて軽トラ」の小野島徹さん(左)、餅田コシヒカリさん(右)

── すぐに治療を再開されたのでしょうか?

 

餅田さん:それが、すぐ治療すればよかったんですけど、気乗りもしないしお金もなかったのであと回しにしていたんです。脱毛の範囲が狭いときは、部分ウィッグをパチパチつけて、舞台に出ていました。いずれ治るだろうと思ってほったらかしにしていたら、どんどん脱毛の範囲が広がってきちゃって。結局、親にまた相談して大学病院の脱毛外来を受診。様子を見ながら治療を始めました。

 

── 芸人というお仕事柄、激しい動きをしたり頭を触るようなツッコミを入れたりなど、影響はありましたか?

 

小野島さん:もともと頭にツッコミすることはなかったんですが、2019年とんねるずさんの「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」に出させてもらったとき。ステージが終わると床がパカっと開いてそのまま真下に落ちる流れになっていたんです。床に直撃しないようにウレタンがたくさん敷き詰められていましたが、体が落ちるのと一緒にウィッグも外れてしまい。「ウレタンがウィッグを被ってる…!」みたいになっちゃって。床に落ちるとすぐにスタッフさんが様子を見に来てくれるんですけど、当時は僕やマネージャーさんなど、ごく限られた人たちにしか脱毛について話してなくて。スタッフさんが来る前に僕がウィッグを慌てて回収して、回収したウィッグを餅田に被せ、スタッフさんにはバレずに済みました。

 

── 間一髪というか。「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で優勝し、これからというときの脱毛だったと聞いています。当時はいかがでしたか?

 

餅田さん:それはそれで優勝を真っ直ぐに喜びました!仕事も一気に進んでいった時期なので、脱毛について考えるより、目の前の収録とか、自分の技量とか、そっちの方がいっぱいいっぱいだったし。

 

── その後、2023年5月にYouTubeにて脱毛を公表。このタイミングで公表した理由は?

 

餅田さん:あえて言う必要もなかったんですけど、髪の毛も生えてきて、隠す必要がなくなったし、小野島さんに相談して公開を決めたんです。ただ、YouTubeで公開するまでの数日間はやっぱり緊張しましたね。どんな言葉で伝えようか。センシティブな内容なので、言ったことで笑えなくなっちゃったらどうしよう。病気なんだってひかれちゃったらどうしようかと。

 

── いざ、公開してみて反響はいかがでしたか?

 

餅田さん:すごくたくさんの反響があってびっくりしました!同じ病気の方、特に女性の方からたくさんコメントをいただいて、「実は私もウィッグ使ってるよ」「この病気のことを誰に言ったらいいかわからなかった。誰のせいでもないし、自分のことを責めるしかできなかった」と本音を語ってくれる方も多かったですね。ほかにも「今まで病院に行くことが恥ずかしかったけど行ってみた」という声や、「動画を見てから好きになってライブに来ました」と言ってくれる方もいて嬉しかったです。

 

私自身は、基本的にメンタルが弱くて、何かあると自分のせいだって思いがちなんです。もちろん2回目の脱毛もショックでしたけど、ウィッグが助けてくれたし、小野島さんもおもしろおかしく話してくれるし、救える手段を見つけていったので、ショックはショックでも暗い気持ちはひきづらずに済みましたね。

 

── ちなみにウィッグは合う・合わないとか、種類もたくさんあるようですね。

 

餅田さん:私の場合「人毛」にするとだいたい馴染むんですけど、「人工毛」だとたまに作り物感が強く出てしまうことがあります。あとは予算ですね。2、3000円のものもありますが、私は仕事柄、人前に出るので、2万くらいのものを買っていた時期もあります。シャンプーはウィッグ用のシャンプーを勧められていますが、人によって柔軟剤を使うことも。私は市販のシャンプーを普通に使って自然乾燥か浴室乾燥で一気に乾かしています。今は髪の毛が生えているので使っていませんが、また使うこともあるかもしれないので、30個くらい持っています。

 

PROFILE 駆け抜けて軽トラ

かけぬけてけいとら。小野島徹(おのじま・とおる)と餅田コシヒカリ(もちだ・こしひかり)にて2017年にコンビ結成。2019年12月「とんねるずのみなさんのおかげでした」内の企画「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」で優勝。

 

取材・文/松永怜 写真提供/駆け抜けて軽トラ