「ちゃんとしつけてますよ」

田んぼでカエルをとる息子さん

── 保育園の行事以外で、ほかのお子さんとくらべることはありますか?

 

福岡さん:普段はもうくらべなくなりました。あと、うちの子どもの強みというか、息子は英語がとても好きなんですよ。英語の歌を歌ったり、英語をしゃべってみたり。たぶん耳がいいのでしょうね。私のライブにも来たことがあります。ライブは音が大きすぎてダメだったようですが、家にあるドラムはよく叩こうとするし、私のベースやギターにも興味を示すんです。みんなと遅れることがあっても、息子には息子の魅力があると思えるようになりました。

 

運動会は難しかったんですけど、お遊戯会のようなものがあって、先生が息子ができそうな役を与えてくれるんです。息子が頑張っている姿が見られたのはとても嬉しかったですね。

 

── 保育園もとても協力的な印象がありますし、移住された徳島の環境もとてもいいそうですね。

 

福岡さん:子育てが始まってから地元の徳島に移住しましたが、子育てをするにはとてもよかったなと思います。近所の小さなスーパーに行くと、息子の特性をわかってくれてる店員さんが多いんです。私がレジでお金を払っているときに息子がどこか行ってしまうので、急いでレジをしてくれるとか(笑)。店から飛び出したら追いかけてくれたり、いらないものを持ってきたら「いらんやろ」と返してくれたり。

 

── 東京だとまた違った反応になるのかもしれませんね。

 

福岡さん:東京は東京で好きでしたが、子どもがスーパーで走り回ったら「なんでちゃんとしつけをしないんだ」と、親が周囲から見られているイメージがあって。「私、ちゃんとしつけしてますよ。ちゃんと怒ってますよ」ってアピールじゃないですけど(笑)、人の目を気にしていたような気がします。でも今、住んでいる場所はそれが全然ないんですよ。小さい街ですし、うちの子の特性を知ってもらえているぶん、暖かく見守ってくれるような雰囲気はありますね。

 

── ただ、徳島以外での生活も検討されているとか。

 

福岡さん:この先、息子が成長するに連れて、国内外問わずいろいろな学校を見て行きたいなと思っています。今は夫婦で発達障害や自閉症スペクトラムについて情報収集や勉強しているところですが、もし、海外で教育が進んでいる場所や、息子にあった学校がありそうだと思えば、選択肢に入れたいです。夫は今、英語の勉強をめっちゃ頑張ってます(笑)。徳島に家を買ったのでここを拠点にしつつ、留学でもいいし、海外に数年間行くのでもいいし、何かあれば動けるようフットワークの軽さはずっと持っていたいと思っています。

 

PROFILE 福岡晃子さん

ふくおか・あきこ。1983年生まれ徳島県徳島市出身。2002年よりチャットモンチーのメンバーとして活動し、2016年に徳島にイベントスペース「OLUYO」を開設。2018年にチャットモンチー完結後、2020年に完全に徳島に移住。ソロアーティストやバンドのプロデュース、作詞作曲などを手がける。結婚して1児の母。

 

取材・文/松永怜 写真提供/福岡晃子、weathershop