「食事中も走り回ってしまって…」と語るのは元チャットモンチーの福岡晃子さん。発達障害のひとつ「自閉症スペクトラム」と診断された息子さんと、徳島に移住して現在、暮らしています。(全3回中の2回)

運動会の練習は頑張っていたが

福岡晃子

── 息子さんが2歳のときに発達障害のひとつ「自閉症スペクトラム」と診断されました。現在4歳になった息子さんをみて、どんなところが息子さんの特性だと感じますか?

 

福岡さん:いくつかありますが、たとえば何かに熱中しているときは、こちらがいくら声をかけても反応がないですね。YouTubeのカエルをとる動画や車の動画が好きなんですが、動画を見ていると何度話かけても全然振り返らないです。

 

あと多動ですね。食事中もずっと走り回っているので、息子を追いかけていったん止めて、口の中におかずを入れますが、またすぐに走り出してしまいます。保育園では椅子に座って食べているようなので、家では甘えているのかもしれません。ショッピングモールにおもちゃを買いに行ったときは、車から降りた瞬間、脇目も振らず走り出してしまったことがありました。普段は「白い線から出たらダメだよ」と言えばわりと素直に聞きますが、おもちゃが嬉しくて感情が溢れてしまったんでしょうね。

 

── 病院で自閉症スペクトラムと診断がついたときに、保育園で加配(障害のある子どもや集団生活を送る際、困りごとがある子どもにたちに対して、サポートや援助ができるよう通常の職員数に加えて先生を配置すること)の話も出たそうですね。

 

福岡さん:保育園にも相談しましたが、先生が「息子さんは他害はないようなので、ひとまず様子をみましょう」とおっしゃってくださって、特に加配することもなく通っています。保育園の先生方には、息子の特性も理解してもらって感謝しかないですね。

 

── 遠足や運動会など学校行事はいかがでしたか?

 

福岡さん:遠足は水族館に行きましたが、ひとりだけ違うところに行ってしまったと聞きました。運動会は、事前に先生から「練習は頑張っていますが、みんなと一緒に参加できない可能性があります」と言われて。実際、運動会に行ってみたら、かけっこも出ないし、みんなで衣装を着て踊るようなものもいっさい出ない。先生は参加させようと何度か声をかけてくれましたが、息子は嫌なことは泣いて嫌がるのがわかっていたので、無理強いはせず、私たち保護者席に一緒に座っていました。でも、家に帰ったらひとりで踊ってるんです(笑)。

 

やっぱりみんなが楽しそうに参加している中で、うちの子だけ何も出ていない姿をみると、息子の特性をわかっていても、「あぁ…」と思ったことは正直ありました。