お笑いの世界に入って20年経つ牧野ステテコさん。女性芸人としての苦労や時代の変化も感じるところがあるそうです。(全3回中の3回)
「売れている」と言われるのはインパクトが強いから
── 最近、『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)などで、よく拝見しています。
ステテコさん:ありがたいことに、最近はゴールデンタイムのテレビ番組に出演させていただくようになりましたが、実際にはそんなには出てないんです。テレビのお話は不定期なので、出演が続くときがあれば、3~4か月空くときもあります。決して「売れてる」とは言いきれないんです。インパクトが大きいので、テレビによく出ている印象を持たれやすいんだと思います。
── たしかに3~4か月空いていても「またステテコさんが出てる」と思ってしまいますね。ちなみに、テレビの収録の際に気をつけていることはありますか?
ステテコさん:できるかどうかは横に置いといて、何個かギャグを持っていくようにはしています。あと、うまくいかなかったときは、帰りのタクシーでマネージャーと反省会をします。このときに「ここがダメだったよね」「こうしたらよかったよね」と、思ってることを全部吐き出して、吹っきるように。ただ、前の収録を忘れたぐらいに呼ばれるので、まだうまく感覚がつかめてないというのが実際のところです。テレビのお仕事に早く慣れたいですね。
男性芸人、女性芸人…ないものねだりかもしれません
──『水曜日のダウンタウン』では、男性芸人がたくさんいるなかで、爪痕をしっかり残されていて、本当にすごいと思いました。
ステテコさん:自分ではあまり意識していませんが、お笑いの世界は男性が圧倒的に多いので、基準が男性になっているところがあるかもしれません。たとえば、男女別の衣装室がないので、女性芸人は女子トイレで着替えるのが当たり前ですし、人によっては黒いハーフパンツをはいておいて、どこでも着替えられるようにしています。
何年も昔になりますが、半分ドッキリみたいなテレビの企画があって、ロケ中に急にレオタードを着ることになったことがありました。ハイレグのきわどいやつだったんで、そのときに「もし私が生理だったら、どうするつもりだったんだろう?」と思いました。たぶん、男性が企画しているから、そのへんのことまで考えが及ばないんだろうなとは思いますが。とはいえ、最近はお笑い業界もテレビ業界も、多様化や男女平等が進んでいる気がします。バラエティ番組の現場でも、女性のディレクターさんを見かけるようになりました。
── 少しずつ女性が活躍しやすい環境に変わりつつあるんですね。女性芸人でよかったと思うことはありますか?
ステテコさん:女性芸人は分母が少ないんで、この点はメリットだと思います。一方の男性芸人は、とにかく人数が多いので。その中で売れるのは本当に大変ですが、仲間意識が強くて、ネタも協力して作っている感じがするので、羨ましいなと思うことはあります。女性芸人は、プライベートでご飯を食べに行くくらい仲はいいのですが、ネタの相談をすることはほぼありません。男性芸人の結束感の強さが羨ましい反面、ちょうどいい距離感を保ちながら、ゆるくつながっている女性芸人のつき合い方も心地いいので、ないものねだりなのかもしれませんね。