現在は2児の母として子どものお弁当作りから野球部の応援もしている谷亮子さん。球場では、柔道とはまったく違った活躍をする姿がありました。(全5回中の1回)

「まさかYAWARAちゃんですか?」

谷亮子
就寝は0時過ぎ、朝は4時起きと語る谷さん

── 2003年に谷佳知さんと結婚されて2人のお子さんに恵まれました。現役の柔道選手と子育ての両立をされていた時期がありましたが、1日の中で、どのタイミングで選手から妻・そして母に気持ちを切り替えていましたか?

 

谷さん:帰宅して家のドアを開けた瞬間でしょうか。柔道をするときは、帯を締めたら100%柔道に集中。練習が終わっても、あの技はもうちょっとこうしたらよかったな。次はこうしようと考えながら家に向かうんです。でも家が少しずつ近づくにつれて、「あれ、玉ねぎあったかな?」「子どもの書類書かなきゃ」と思い浮かんできて、ドアを開けた瞬間一気に気持ちが切り替わります。そこからは妻・母モードになって家のことに集中していますね。

 

── 現在、長男が大学1年生、次男は中学生。おふたりとも野球をしているそうですね。毎朝お弁当作りをしていた時期もあったとか。

 

谷さん:長男が高校生のときは、毎朝4時に起きてお弁当を作っていました。今は大学の寮に入ったので少し緩やかになりましたが、当時の生活がしみついていて、今でも目覚ましなしで4時くらいに起きますね。長男が高校のときは保護者の方と野球の試合のお手伝いをしました。今は次男がリトルシニア野球に入っているので、野球の応援をしながら、私が試合のアナウンスもすることがあります。

 

── 試合のアナウンスとは…?

 

谷さん:たとえば「一番、センター谷くん」。選手が交代するときは色々ありますが「選手の交代並びに、シートの変更をお知らせします」「センターの谷くんに代わりまして、山田くんが入ります。一番センター山田くん」「以上のように代わります」と、いった感じでアナウンスします。これをお母さんたちが交代で回してるんです。最初は野球のルールがまったくわからなかったんですが、わからなくてもアナウンスの順番が回ってくるので、イチから勉強していく感じで。ただ、ほかのお母さんたちは、「アナウンスはちょっと…」と嫌がるので(笑)、気づいたら私がアナウンス担当みたいになっちゃってます!アナウンスをするのはいいのですが、私も慣れているわけではないので。試合の状況がわかりにくいことがときどきあって、「ちょっと誰か!今のどうなった?」って焦ることはありますね(笑)。

 

── 谷さんがアナウンスとは、かなり豪華な試合ですね。

 

谷さん:いやいや(笑)。ただ、アナウンスをする部屋にいると、相手チームのお母さんたちがいらっしゃったときに、私の姿を見てびっくりされるんです。「え?YAWARAちゃんですか??」「はい、そうです!」「えええ…!!」って驚かれて。挨拶をしたあとは、「私もルールよくわからないんですよ〜」とかワイワイしながら、みんなで楽しくやっていますね。

 

── 相手のお母さんたちの驚きが目に浮かびます(笑)。アスリートの先輩として、息子さんたちにアドバイスされることはありますか?

 

谷さん:自分がやってきた競技とは違いますが、柔道でやってきたことはこうだったけど、こういうやり方もいいんじゃないかな、と伝えるとか。主人が練習方法を教えることもありますね。子どもたちのおかげでいろいろ経験させてもらえるし、そこからまた繋がりが広がっていくのは楽しいです!

 

── 今は柔道関連のお仕事をしながら、プロ野球OBクラブの理事を務めているそうですね。どういったことをされているのでしょうか?

 

谷さん:日本野球の底辺拡大や技術の向上、プロ・アマ交流の促進など、多岐にわたる活動を元プロ野球選手1300名の皆さんと活動をしています。全国47都道府県で少年少女に野球教室の実施。また、柔道だけではなく、野球や他のスポーツにおいても、子どもの未来に繋がる活動を目指しています。