分散投資で安定した資産運用

── そこから順調に資金は増え続けたのでしょうか?

 

杉原さん:そううまくはいかなくて。2008年にリーマン・ショックが起こりました。最初の株を買ってから3年ほど経ったころだったのですが、これにより資産が半分くらいに。ただ、このころでさえまだきちんと勉強して株の売り買いをしていたわけではないので、株価が暴落してもすぐに株を手放さなかったのが、あとから考えるとよかったのかもしれません。そのときの含み損は2010年のアベノミクスでほぼ取り返せました。

 

ただ、私にとって、リーマン・ショックは株や投資をきちんと勉強しようというきっかけになった出来事でした。それからは企業の業績やニュースなどをチェックしながら、経済や世界情勢の影響などで株価が低くなったときに割安で購入するように。それでも大きな会社が突然潰れて損をすることもあるので、何があるかはわからないですね。

 

リーマン・ショックが株の勉強をするきっかけに
リーマン・ショックが株の勉強をするきっかけに

── 杉原さんなりのマイルールはありますか?

 

杉原さん:欲張らないことでしょうか。この世界は人の欲がすごく出ます。たとえば「自分なりの利確ライン(利益を確定する金額)を決めたら、そこから上がりそうでも売る」「このチャートになったら少しの損があっても売る」など、欲張らずに機械的に売買するのがいい気がします。

 

たまに株価が急激に上がって大金をつかんだ…なんて話もありますが、それは幻をつかむくらい難しいこと。一度、株を売っても、また買えばいいんです。少しずつ利益を積んでいくことが大切だと個人的には思います。あとは企業の業績や決算の結果など基本的な部分はきちんとチェックすることをおすすめします。

 

私は自分の好きなゲーム会社の株が上がって、運よく成功しました。でも物欲はあまりなく、お金が入ったからといってどーんと使うようなこともしません。投資で増えた資産は、さらに次の投資に回すようにしています。「物を買うために稼ぐ」という意識でやると、なかなかうまくいかないのかなという気がします。

 

資産運用の一大イベント「資産運用EXPO」に登壇した時の様子
資産運用の一大イベント「資産運用EXPO」に登壇した時の様子

── 最近では不動産投資も始めたそうですね。きっかけを教えてください。

 

杉原さん:株はどうしても上がり下がりがあります。売り買いをするのは楽しいですが、老後は疲れてしまうのではと。そのため分散投資についてはずっと検討していて、不動産のように安定した資産がほしいと思っていました。

 

いろいろな物件を見て、36歳の誕生日にマンションを購入。管理会社を間に挟んでいるので、今のところは苦労なく運用できています。コロナショック当時、保有株の株価は半分くらいになってしまいましたけど、不動産は家賃収入が半減したわけでもなくコロナ前と変わらず運用できていたので、入居者さえいれば定期的にお金が入るのがありがたいですし、株価が下がって不安になるときも、安定した収入があることで安心できます。

 

── 今後も不動産投資は広げていきたいですか?

 

杉原さん:ただ不動産に投資するだけではなく、みんなでお金のことを考えられる投資のシェアハウスをつくるのが、今の目標です。お金のことってひとりで考えたり決めるのは不安なのに、みんななかなかオープンには話しませんよね。日本は特にお金の話はデリケートですが、それだといつまで経ってもコミュニティは広がらないし、知識もつきません。

 

なので、投資に興味のある人同士で、暮らしながらみんなで話し合えるようなシェアハウスをつくれたらおもしろいのでは、と考えています。いろいろなことを話し合えれば勉強になるので、そんな場があればみなさんも楽しく情報交換ができて、より充実した投資生活ができると思っています。

 

杉原杏璃さん
杉原杏璃さん

 

PROFILE 杉原杏璃さん

すぎはら・あんり。1982年、広島県生まれ。グラビアアイドルとして数々の写真集やDVDを発売。自伝的小説『…and LOVE』も話題に。補正下着ブランド「Andijur」をプロデュース。資産運用にもたけており、30歳で資産1億円の、いわゆる「億り人」になる。著書『マンガでよくわかる資産運用1年生 』(かんき出版)を発売。

取材・文/酒井明子 写真提供/杉原杏璃