2019年に埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手と結婚し、野球選手の妻となった衛藤美彩さん。結婚当初「アスリートを支える妻はこうあるべき」という自分の先入観に追い詰められ、疲弊してしまった時期があったそうです。(全5回中の5回)

「私が幸せなら家族が幸せ」夫婦で解決したサポートの仕方

── 野球選手の妻となった衛藤さんですが、アスリートを支えるご家族として何か意識されていることなどはありますか?

 

衛藤さん:結婚当初、野球選手の奥さんになるということは食事面でも生活面でもサポートして、夫が一日でも長くプレイヤーとして活躍できるように頑張らなきゃと張りきっていました。夫の成功はサポート役の自己犠牲のうえに成り立つという考えが、どこかにあったんだと思います。そうやって力が入りすぎていたせいか、次第に疲弊してしまって…。

 

理想の夫婦の形を模索して

その様子を見た夫が「自分のサポートを求めて結婚したわけじゃない。一緒に生きていきたいから結婚したんだよ。無理して自分を犠牲にすることで、美彩の笑顔がなくなることのほうが俺はつらい」と。

 

ハッとしました。世間の人が思う「アスリート妻はこうあるべき」ではなくて、「夫にとって最高の妻」であればいいんだと気づかされました。その逆もまたしかりで、なんでも相談して話し合って、そのたびにふたりで乗り越えていけばいいんだと思いました。

 

理想の夫婦の形は家庭ごとに異なりますよね。夫にとってのベストは笑顔の私であって、無理をして疲弊した顔で家庭の空気を壊していては、いいパフォーマンスに繋がらないんだと。なので、今は私が無理をしすぎず、心を乱さずに穏やかにニコニコしていることを大切にしています。それがわが家の夫のサポートの仕方であり、家族の幸せなんです。

 

── たしかに、妻の幸せが家族の幸せ、とも言いますよね。

 

衛藤さん:そうなんです。私自身、これまで人に頼むとか甘えることが苦手だったところがありました。でも、変な罪悪感は捨てて、割りきろうと思いました。私が苦手なことはプロや他の人に頼ろうと。夫と話し合って決めて私たち夫婦がよければいいわけで、正解を外に求めたり世間のイメージや常識にとらわれないでいいんだと。

 

ふたりにとっての100点を見つけるには、擦り合わせの日々を続けることが大切なんだと思います。「今のは嫌だったかも」って思ったらその場でシェアしたり、モヤモヤすることを溜めないのも大事です。洗い物といっしょで、溜まると洗うのがめんどうじゃないですか。毎日ちょこちょこ洗えば、溜まらないんですよね。