「生きてるだけで丸儲け」母の思いが今の子育てにも影響
── ご自身の経験を通して、母となった今、お気持ちの変化があったのではないでしょうか?
衛藤さん:今思えば母からはずーっと「美彩ちゃんが生きているだけでいいのよ」と事あるごとに言われて育ったんです。そこには私の病気の一件が母の考えに変化をもたらせたところがあったようです。母も子育てにおいて、「自分が習っていたから娘にもバレエを習わせたいな」とか、「こういう学校に行かせたいな」といった願望や欲がいろいろあったようです。でも、腫瘍が見つかって以降、母は「生きているだけでありがたい」って思うようになったと。そんな両親の思いを受けて育ったので「生きてるだけで丸儲け」という思いが私にも受け継がれているなと子どもを産んで気がつきました。
自分自身もあの時は生かされたなと思っていて、神様に「生きなさい」と言われたような気がしています。とくに子どもを産んで「この子たちに出会うためにあのとき生かされたな」って。正直子どもたちにも将来こうなってほしいとか願望や欲が出てきますけど、まず生きていてくれることに感謝しようって。今子育てをしているなかで、もちろん悩みなども出てきますけど、俯瞰で見てそう思えるようになりました。
PROFILE 衛藤美彩さん
えとう・みさ。1993年生まれ。大分県出身。乃木坂46の一期生として活躍。2019年には卒業でのグループ初となるソロコンサートを開催し注目を集めた。同年に埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手と結婚。2022年に第1子、2023年に第2子を出産。現在子育てに奮闘する2児のママとしてSNSやYoutubeチャンネルで日々の様子を発信中。
取材・文/加藤文惠 写真提供/衛藤美彩