パーツモデルで美容家の金子エミさんが、成人した長男の海人さん(26)と次男の律心さん(20)との関わりで、大事にしていたことをうかがいました。(全5回中の5回)

ポジティブな言葉に変換して、やる気を育てる

パーツモデル兼美容家の金子エミさん(Instagramより)
パーツモデル兼美容家の金子エミさん(本人のInstagramより)

── ふたりの息子さんの育児で、大変だったことはありますか。

 

金子さん:子どもたちが小さい頃は、ひとりで育児をするのはほんとうに大変でした。よくキッチンで泣いていましたね、「誰か、ごはん作ってー!」って(笑)。同じような方は、今もたくさんいらっしゃると思うんです。

 

今になって思うと、甘えられるところがあるなら、甘えたほうがよかったですね。私は家にお手伝いの人に来てもらったり、子どもを預けたりすることがなんだかできなくて。ついひとりで頑張ってしまったんですけど、あんなに頑張らなくてもよかった。今になって疲れが出ています(笑)。

 

── おふたりを育てるなかで、心がけていたことはありますか。

 

金子さん:ひとつは、「人を傷つけない」ことを教えること。具体的には、出身や体のことなど「自分では変えられないことは、人に言わない」ということです。これは、律心が通った小学校の校長先生がおっしゃったことです。

 

もうひとつは、「やる気」を育てること。私が「やってほしい」と思っても、本人にやる気がなかったらしょうがないし、それぞれにやる気が出ることは違うから、「この子は何が好きで、何にやる気を出すんだろう」ということは小さいときからよく見ていましたね。

 

先日20歳になった次男とお誕生日ランチへ(Instagramより)
先日20歳になった次男とお誕生日ランチへ(本人のInstagramより)

── 具体的には、どうやってやる気を育てるのですか。

 

金子さん:言葉のかけ方ですね。「これをやらないとこうなっちゃうよ」というネガティブな方向のお知らせはしないようにしています。「これが好きなんだね」「こうするともっとよくなるよ」「頑張っているね」と前向きに、ポジティブな言葉で伝えます。

 

特にダウン症の海人は言葉が少ないし、できないことが多いのが当然なので、できるだけネガティブな言葉はかけたくないと思っています。

 

次男も同じです。どうしても私が海人にかかりきりになることが多いので、「お母さんはカイちゃんばっかり」とか「友達のお母さんはこんなにしてくれる」と言うこともありました。そういうときも、「ママは体がひとつしかないから、できなくてごめんね。でも、おかげでリオは自分でできるようになって、すごいじゃない」と前向きな言葉をかけるようにしていました。

 

実際に、次男はなんでも自分で考えて自分でやっていましたね。小学校5年生まで続けていた水泳も、「勉強が大変になってきたからやめる」と自分で決めました。

 

長男の海人さんが第34回九州障害者水泳選手権大会で優勝!(Instagramより)
長男の海人さんが第34回九州障害者水泳選手権大会で優勝!(本人のInstagramより)

── 言葉がけで、前向きな思考を伝えられたのですね。

 

金子さん:学校でも社会でも、いろいろなことがあるじゃないですか。そういうとき、何事もポジティブに変換する力さえ身についていれば、何があっても、私から手が離れてからも、大丈夫だと思うんです。それには、小さい頃からの前向きな言葉がけが大事で、親にできることはそれくらいだと思っています。

 

そうはいっても、前向きになれないときもありますよね。私は自分のことではあまりくよくよ悩まないんですけど、子どものことはそうはいかなくて、悩みが尽きません(笑)。