可哀想だと思われたとしても

熊谷真実

── 物事のプラス面に目を向ける生き方は素敵ですね。

 

熊谷さん:もともと子どもの頃は、すごく大人しい子で、いじめられっ子だったんですよ。でも、中学時代に『少女パレアナ』という本を読んで感銘を受け、考え方がガラリと変わりました。主人公の少女は、どんな状況からも喜びを見出す「喜びのゲーム」で、つらい出来事に遭遇しても「初めての経験ができてラッキー」という感じで、物事を前向きに捉えるんです。それによって、周りも幸せになっていく。そんな彼女に憧れて、「私もこの子になる!」と思ってずっと真似していたら、こんな感じになっちゃいました(笑)。

 

── “喜びを見出す心”が、今のポジティブな熊谷さんをつくったのですね。

 

熊谷さん:物事をプラス思考でとらえるには、自分のなかで、いろいろと変換させていかなくちゃいけない。でも、これってある意味“テクニック”なので、意識していればできるようになっていきます。

 

私は、考え方ひとつで人生はどうにでも変わると思っているんです。他人から“可哀想な人生”と思われたって、自分が楽しければそれでいいじゃないのって。物事を悲観的に見るか、楽観的な方向に転換するか、それは自分で決められますよね。どのスイッチを押して生きていくかは、自分で決めていい。私は、「最高の人生を最後に手に入れる」というスイッチを押して生きているので、やりたいことは全部やる!という気持ちで毎日過ごしています。

 

── 自分のスイッチは自分で押す。お話を伺っていると、勇気が出ますね。

 

熊谷さん:やりたいことはどんどんやらないと損ですよ!人生そんなに長くないですからね。それに、全力で挑めば、たとえ失敗しても「まあいいか」と、あきらめがつく。前の結婚生活も自分なりに全力で向き合ってきた結果なので、反省点はあれど、悔いはないんです。

 

PROFILE 熊谷真実さん

1960年生まれ。東京都出身。俳優。NHK朝の連続小説『マー姉ちゃん』(79年)、NHK大河ドラマ『功名が辻』(06年)、映画『死刑台のエレベーター』(10年)、映画『アンダードッグ』ほか出演。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/熊谷真実