200人の子どもとの関わり方
── ところで、新婚旅行でベトナムに行かれたときに、杉さんの福祉活動の現場も初めて見られたとか。
伍代さん:杉さん、ベトナムで子どもたちの学校をふたつ支援していて。孤児院を回ったり、日本人墓地に行って、帰りたくても帰れなかった人たちに手を合わせて献花したり、新婚旅行からそんな感じでしたから、すごいとこに嫁に来ちゃったなって思いましたよ。
── 結婚した当初、杉さんはベトナムに6人の養子がいたそうですが、今は夫婦でもっと増えているそうですね。
伍代さん:今は200人くらい、どんどん増えています。里親システムというのがあって、要はお金です。以前は顔写真も送ってもらってとりあえず覚える努力をしていましたが、今は200人いるから無理ですね。
子どもたちは学校に通いながら孤児院で暮らしていますが、成人して18歳になると孤児院から出されてしまうんです。自力で生きていくことになります。でも、変な話ですが、子どもたちの為にお金を寄付しても、学校の事務局長たちの生活がよくなってしまうこともあるんです。職員室にミラーボールまでつけた人もいて、そうしたことも珍しくないんですよ。
── 大学に行きたくても進学できない子どもは多いのでしょうか?
伍代さん:学校側からこの子を大学に行かせたいので、援助をお願いできませんか?と聞かれることはありますね。または誰かが病気になったとき。心臓病の子も多いですけど、向こうでは手術ができなくて日本に呼んで手術をしたこともあります。
── 子どもたちに会うことはあるんですか?
伍代さん:あります。日本に遊びにくるし、イベントがあると呼ぶんですよ。
私の海外の福祉活動は他にシンガポールくらいですけど、孤児院に行ったり盲学校に行ったり、そのほか劣悪な状況を見ると、どうにかしたいとは思いますね。もちろん日本の災害を見ても同じです。杉さんは福祉の塊のような人ですが、結婚して夫婦になってから私も大きな影響を受けていますし、自分ができることは継続してするようにしています。
PROFILE 伍代夏子さん
1961年生まれ。1982年デビュー後1987年伍代夏子と改名し『戻り川』でデビュー。翌年同曲で第21回日本有線大賞、第21回全日本最優秀新人賞を同時に果たす。NHK紅白歌合戦の出場ほか、活躍中。1999年に杉良太郎と結婚し福祉活動も積極的に行なっている。5月に『いのちの砂時計』発売。
取材・文/松永怜 写真提供/伍代夏子