山小屋を購入して感じたこと

島谷ひとみ

── 以前は港区に住んでいた時期があったそうですね。港区と山小屋だとまったく違う暮らしになるかと思いますが、いかがですか。

 

島谷さん:全然違いますよね。私が港区に住んでいたのは20代のころで、事務所が借りたマンションがあったからそこで生活していました。私としては、瀬戸内の島育ちだったこともあり、大自然に囲まれた中で生活したいなと思っています。

 

土や木、きれいな水、空気がある環境が好きです。そもそも私には、植物が育つ以上の高さの建物は高すぎるので、マンションに住むとしても低層階に住みたい派です。でも、20代の頃に街中で生活できたのは、それはそれでよかったです。都心に住んだことあるからこそわかる田舎のよさも実感でき、改めていい経験だったと思います。

 

── 山小屋リフォームを経て、家に対する思いや人生観に何か変化がありましたか。

 

島谷さん:やっぱり私はモノづくりをしているのが好きなんだと実感できました。意外と頭に描いた理想は、動いたら形になるもんだなって思っていて。人生一回きりだしチャンスがあったらやってみたい。購入した山小屋も、リフォームすることでもっと魅力的な物件にして、新たに買いたいという人が出てくるんじゃないかという自信があったんです。事務所を独立するときは不安を感じましたが、今は世界が広がった感じがします。

 

私にとって、働くことはお金を稼ぐだけでなく、衣食住を充実させる手段でした。しかし、それが整ってくると、働くことの意味が変わってきました。食べるものや住む場所、着るものにこだわり、それが山小屋をみずから建てるという形に結実しました。このプロジェクトは、多くの要素が一気に動き出すきっかけとなりました。

 

PROFILE 島谷ひとみさん

広島県出身。1999年7月のデビュー以来、『亜麻色の髪の乙女』『パピヨン-papillon-』などで大ヒット。音楽活動だけにとどまらず、多くのラジオ、バラエティー番組などに出演し、活躍中。

 

取材・文/間野由利子 写真提供/島谷ひとみ、株式会社Eye-Land