母のお店で「ブーメランパンツ(海パン)」に出会う
── 小島さんにとってはどんなお母さんでしたか?
小島さん:とても明るい性格です。バザーやフリーマーケットで服を売って生活費のたしにするなど、生活が苦しいときもあったとは思うんですけど、そういう雰囲気を僕らに全然感じさせませんでした。
そんな母が、僕が高校3年の頃「沖縄料理屋を始める!」って突然言い出して驚いたことがありました。それまで店をやった経験がなかったので心配したんですが、母は社交的ですごくいろんな人とコミュニケーションできる人だったから全然、大丈夫でしたね。僕も調理を手伝ったりしていました。お店にはいろんな年齢の人がやって来たので、接客するなかで僕も社交性が身につきましたし、人間力もアップした気がしますね。
ひとつ大事なエピソードがあります。お店の常連のお客さんに、二十歳の誕生日プレゼントとしてブーメランパンツ(海パン)をもらったんです。それが後々の衣装になるわけです。ピン芸人になった当初は「服を脱ぎながら怖い話をするも、全然怖くない」というネタをやっていたんです。でも服を脱いでもブリーフやパンツ姿だと違うなぁ…と。そのときに常連さんにもらった海パンを思い出して、今に至るというわけです。母の店がなかったらあの衣装にも出会ってなかったんですよね。
── 海パンがそんな大事な衣装になるとは、プレゼントしてくれた方も思ってなかったでしょうね(笑)。お母さんの社交性や、お父さんの選挙へ何度も挑む不屈の精神などには、今の小島さんをつくり出した要素がありそうです。
小島さん:少なくとも、人前に出ることに抵抗がないというのは父の活動のなかで養われたかもしれません。父が人前でしゃべるのを小さい頃からずっとそばで見ていましたし。社交性についてもそうですね、母の接客に学ぶことは多かったです。母の店には父の政治仲間とかもよく集まったり、普通の家庭よりもいろんな人が出入りする家だったので、人を観察できる環境にはいました。そのへんが一般的なおうちの子とは違うかもしれませんけど、いろんな人に成長させてもらい、振り返ると楽しい家だったなぁと思います。
PROFILE 小島よしおさん
1980年生まれ。沖縄県出身。出生後は千葉県で育つ。早稲田大学教育学部国語国文学科在学中より芸人としての活動をスタート。「そんなの関係ねぇ!」「はい、おっぱっぴー」などのギャグで2007年に大ブレーク。『ユーキャン新語・流行語大賞2007』にノミネートされるなど話題を集めた。現在は子ども向けのライブを精力的にこなし、YouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」「ピーヤの休日【ピーヤTV】」なども人気。著書には、子どもの悩みに寄り添ったアドバイスが好評で書籍化された『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)、『最強無敵の雑草たち(10歳から学ぶ 植物の生きる知恵)』(家の光協会)など。
取材・文/加藤文惠 画像提供/小島よしお