人と差をつけるには「大変な時に頑張れるか」
── 具体的にはどんな努力をされたんですか。
愛沢さん:当時はSNSもブログが中心の時代だったので、ブログに自分の好きなものをたくさん載せていました。昔から可愛いものが好きで、部屋や服装もそうしていたのですが、キャバ嬢としてハイブランドのものをたくさん買っていたことが、ひとつのキャラになって、「No.1」や「女王」というキャッチフレーズをつけてくれました。
「私しかできないことはなんだろう」と考えたら、キラキラしたところを見せることだなと思ったんです。そのためには実力も、お金も必要です。自分を追い込んでプレッシャーもありましたが、かっこいい自分でありたいと常に思っていました。撮影には自前の洋服などを持っていっていたので、そのためにお金を稼ぐということはキャバ嬢の仕事にとってもプラスでした。
── 昼間はモデル、夜はキャバ嬢の仕事で、休む暇がなさそうですね。
愛沢さん:寝る時間を惜しんで仕事をしていました。朝の9時から19時まで撮影、そのあと同伴、21時からお店に入って、アフターがない日は午前3時頃から寝る。撮影の用意や移動も自分でしていたので、それに毎朝2時間ほどかかって、本当に忙しくしていました。キャリーケースを2つ持って撮影現場に行っていました。
ただ、続けているうちにだんだん大変になってきたのと、キャバ嬢は続けたいという思いが強かったので、「雑誌をやめようと思っている」と知人に相談したんです。そしたら、「大変なときって誰にでもあって、その時に頑張るかどうかで人と差がつくから絶対に頑張ったほうがいい」とアドバイスをされました。
今でも忘れられない言葉なのですが、確かにここでやめたら普通だなと。普通の人ができないことをするなら、昼は雑誌の仕事をしているから夜の売り上げが下がっているというような言い訳はせずに、両方やりきろうと決めました。
── モデルもキャバ嬢も、見られる仕事としては共通するところもありますね。
愛沢さん:モデルとしてより、キャバ嬢の仕事中の方が、美意識が保たれていたと思います。誌面ではあまりダイレクトに伝わってこないのですが、お客さんから直接、「スタイル悪いね」とか「可愛くなくなったね」と言われることが多くて。常に自分の見え方はチェックするようにしていましたし、メンタルも強くなったと思います。
── 雑誌の仕事が今に活きていることは何ですか。
愛沢さん:雑誌のモデルを続けて良かったと思うことは、自分の見せ方が鍛えられたことです。今もYouTubeを続けているのですが、企画や構成もすべて自分で考えていますし、何事にも妥協なく取り組むことを学びました。それに、常に客観的に自分が求められているものを意識して考えていた経験が、ビジネスをする上で今も活きていると思います。
PROFILE 愛沢えみりさん
1988年神奈川県横浜市生まれ。(株)VOYAGE代表取締役。元歌舞伎町No.1キャバ嬢、『小悪魔ageha』専属モデル。インフルエンサー歴13年で総フォロワー数は200万人以上。
取材・文/内橋明日香 写真提供/愛沢えみり