初めてのひとり暮らしを経験

猪狩ともか

── 今は日常生活を送るうえで、どんなことが大変ですか?

 

猪狩さん:外に出るときは道路の段差や坂道、エレベーターが無くて階段しかないところは苦戦します。駅の移動は路線によっては駅員さんにスロープを用意してもらいますし、駅構内の移動最短ルートが使えなくて遠回りすることはありますね。

 

自宅では、お風呂はひとりで入っていますが怪我の影響でお湯の温度が感じにくくなっています。あらかじめお湯の温度を40、41度にしていますが、私にとってはあまり温かさを感じないので、湯船につかってから42度くらいに上げることも。トイレは排尿障害があるので尿意を感じません。自宅にいるときは4、5時間おきに時間で管理しながらトイレにいきますが、外出先ではカテーテルにしていますね。

 

── 8月から初めてのひとり暮らしをしているそうですが、何かきっかけがあったのですか?

 

猪狩さん:一番は時間短縮ですね。実家が埼玉なので移動時間がかかってしまうんです。自分ひとりでも電車に乗りますが、送迎をお願いするときは遠くて申し訳ないと思っていたので。

 

── 物件選びでこだわったことはありますか?

 

猪狩さん:洗面所の下は下の棚が奥に引っ込んでいるもの、車椅子が入るものを探しました。あとはトイレとかお風呂の環境ですね。ここも車椅子の幅がちゃんと入るかどうかチェックしました。

 

── 生活してみていかがですか?

 

猪狩さん:今のところおおむね順調な気もしますが、ゴミ捨て場が車椅子からだと捨てづらいんです。たまたま管理人さんが通りかかったときは「大丈夫?」と声をかけてくださったり、私の家に母や友人が来ているときはお願いしています。それでも誰もいないときはいったん諦めて、実家にゴミを持ち帰ることもありますね。生ごみは週3回くらい回収がありますが、タイミングですね。

 

── 今後やっていきたいことはありますか?

 

猪狩さん:仮面女子が続く限りは私もグループ活動を頑張りたいですし、SNSの発信も頑張りたいし、もっとメディアに出てタレントとして力をつけていきたいですね。

 

PROFILE  猪狩ともかさん

1991年生まれ、埼玉県出身。2018年4月強風で倒れてきた看板の下敷きになり、緊急手術を受けたが脊髄損傷を負い、以後下半身付随に。リハビリを経て車椅子に乗りながらアイドルとして復帰を果たす。

 

取材・文/松永怜