「新年だから」と気分が大きくなって、おせち料理や皆で集まったときの食事が進む人もいるでしょう。で、その後、つらいと後悔…。そうならない年始の食事のしかたを医師に聞いてみると…。

 

身体にやさしい「おせち」の品はどれ?医師が勧める3つの食べ物とは

つい食べすぎて「新年から胃もたれ」を防ぐには?

── おいしいものを食べる機会が増えるお正月。「新年くらい、いいよね」と、おせち料理やごちそうを食べすぎては、胃腸の調子が悪くなる経験を毎年繰り返してしまいます。

 

工藤先生:おせち料理をはじめ、豪勢なすき焼きやお寿司、大皿のピザをワイワイと囲んで食べたりなど、お祝いに登場しがちなごちそうには、脂質や糖質を多く含んだ料理がどうしても多くなりがちです。

 

とはいえ、新年早々から、ごちそうを前に食べるのを我慢するのもつらいですよね。基本的な話ですが、よく噛んでゆっくり食べること。また、栄養面から胃腸の負担を和らげてくれる料理を意識して食べるのも大事です。

 

── おせち料理だと、どのような料理がおすすめでしょうか?

 

工藤先生:「海老」は高タンパクで低脂肪なうえに、ビタミンEや鉄分、カルシウムなどの栄養が豊富で優秀な食材です。殻をむきながら食べるので、「早食い防止」にもなります。海老には肝臓の働きを助けるタウリンも含まれるので、お酒が進みがちなお正月にはピッタリです。

 

また、「野菜の煮物」や「レンコンの酢漬け」などで食物繊維やビタミン、ミネラルを補給しましょう。しっかり噛むことで満腹中枢が刺激されるので、食べすぎ防止の効果も期待できます。

 

── おせち料理をはじめ、ごちそうが続くと野菜が不足しがちになるので、忘れずに摂るように心がけたいですね。

 

工藤先生:「黒豆」もおすすめです。食物繊維が豊富で便秘の予防にもなり、年末年始の食生活で乱れがちな腸内環境を整えてくれます。また、ポリフェノールやビタミンEが含まれているため、シワやたるみといった老化も防いでくれます。

新年会などで「お通しのキャベツ」を食べると吉

── 新年会といったお祝いで飲食する機会も増える時期です。胃腸のダメージを防いでくれる食べ物はありますか?

 

工藤先生:料理に添えられることの多い大根おろしは、脂っこい食べ物が多い飲み会の強い味方です。大根には、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」や脂質の消化を助ける「リパーゼ」という酵素が含まれていて、消化を助けてくれます。これらの酵素は熱に弱いので、大根おろしやサラダのように生で食べるのがポイントです。

 

また、キャベツにはビタミンU(別名:キャベジン)が含まれています。ビタミンUは胃腸の粘膜を保護したり、胃腸の働きを促したりする働きがあり、市販の胃腸薬にも含まれることがある成分です。

 

大根と同様に、焼き鳥店などでお通しで出されるキャベツや、サラダなど生で食べるのが理想です。キャベツは食感もありますし、食べすぎ防止も期待できます。

「食べすぎた」翌朝にオススメの食べ物がある

── 暴飲・暴食してしまった翌日におすすめの食べ物はありますか?

 

工藤先生:暴飲・暴食をした翌日は、前日の食べ物を体内で処理するために、胃腸に大きな負担がかかっています。ヨーグルトならやわらかくて口当たりも良く、消化に余計なエネルギーも使わず、食欲がないときでも食べやすいです。

 

また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が腸内環境を整えてくれます。

 

── ヨーグルトならば調理不要で食べられますし、コンビニやスーパーで手軽に入手できるのもありがたいですね。

 

工藤先生:通常であれば胃もたれなどの胃の不快感は2、3日で回復しますが、もし慢性的に続くようならば、「LG21乳酸菌」が入ったヨーグルトを試してみるのもひとつの手です。LG21乳酸菌は一時的な胃の負担をやわらげる機能が報告されている、いま注目の乳酸菌です。

 

胃で働く乳酸菌といわれ、胃酸にも強く、食べ物が胃で消化するときのぜん動運動を活発にする効果があるとされています。食べ物を上手に選びながら体調を管理して、年始を楽しく、健康にすごしましょう。

 

PROFILE 工藤あきさん

消化器内科医・美腸・美肌研究家。一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケアにも尽力。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。

 

取材・文/大浦綾子