出産予定日の2日前に自宅トイレで出産した、はんにゃ川島の妻・菜月さん。救急隊は間に合うのか。へその緒は?出血は?慌てふためく夫と緊迫が続き── 。(全5回中の2回)

夫から「力まないで!」と言われても

── 2015年に第一子が誕生されましたが、出産が大変だったそうですね。

 

川島さん:出産予定日の2日前に、トイレで出産しました…。出産の前日から下痢や嘔吐が続いていましたが、初めての出産で陣痛の痛みか食べ過ぎなのかよくわからず、そのまま耐えていたんです。

 

夜中から痛みが続いていたけれど、朝方一気に激痛になりました。朝7時過ぎ、トイレに行こうとした瞬間に破水。かかりつけの産院に電話したものの痛くてちゃんと話をすることができず、寝ていた夫を起こして電話を替わってもらうことに。病院の指示で夫が救急車を呼んでくれました。

 

── 出産までに救急車は間に合いましたか?

 

川島さん:間に合いませんでした。トイレから立ち上がろうとした瞬間、違和感を感じて股の間に手を当てたら何かが手に触れて。なにこれ?と手で触ってみたらどうやら赤ちゃんの頭皮っぽいんです!「もうムリー!赤ちゃんの頭が出てきてる!」。それを聞いた救急隊員が電話越しに「力まないで!」と夫は、「どうしよう、どうしますか?」とよくわからないことを言いながら部屋の中を行ったり来たり…。

 

「今すぐ救急隊が来るから、それまで力まないで」と夫に言われたものの、とにかくおなかが苦しくて痛くて、冷や汗が止まらない。もう限界!そう思った瞬間、スポッと赤ちゃんが滑り落ちる感覚がして、気づいたら自分で腕に抱きかかえていました。夫が急いでタオルを持ってきて包んで…。

 

長男1歳の時のお誕生日にて

数分後、救急車が到着して隊員の方が駆けつけてくれて、生まれたばかりの赤ちゃんのへその緒を切ってくれました。私の胎盤や傷の処置など病院に到着してからやってくれましたが、出産の際にお尻のあたりまでさけてしまい、傷口はしばらく痛くて仕方がなかったです。私は出血多量でそのあたりは記憶が途切れているのですが。

 

── ご主人はどんな様子でしたか?

 

川島さん:夫は携帯電話を2つ持って産院のスタッフや救急車を呼んだり、廊下を行ったり来たりして落ち着かない様子でした。救急車に乗り込むあたりで気持ちが落ち着いてきたのかシャキッとしてきましたね。救急車と一緒に消防車も来ていたのですが、理由を聞いたら救急車だと遺体を運べないと言われて、改めて今回の出産がとても過酷な状況だったんだと怖くなりました。

トイレ出産がニュースに流れ 

金魚すくいを楽しみながら

── トイレでの出産は、ネット記事にも取り上げられましたね。

 

川島さん:夫が所属先の事務所に出産の経緯を報告し、ネットニュースでも記事として取り上げられることに。初対面の人に「2人目もトイレで産んじゃいなよ!」と冗談混じりに言われることもありました。

 

── 出産から2週間後、自宅でテレビの取材があったそうですね。

 

川島さん:夫からテレビの取材が決まったからといわれ、当日は朝5時から夜まで続きました。本当は産後だったこともあり、自宅でゆっくり休みたかったんです。夫に伝えると難色を示されて…。たしかに私が断ると夫も仕事ができなくて困るし、さらに収録にかかわっているスタッフの方々にも迷惑がかかると思い、結局引き受けることに。

 

夫は、芸人と結婚した以上、家族全員で仕事に協力すべきという考えで、かなり抵抗感はあったものの顔出しもしました。今となっては、もう公表されていることだし、夫の仕事につながるならと前向きに受け止めています。のちにブログを始めるきっかけになったので、今ではありがたいなと思っています。

 

予想外の場所で子どもを出産することになりましたが、今はスクスクと育ち笑顔と癒しを与えてくれています。

 

PROFILE 川島菜月さん

岡山出身。お笑いコンビ「はんにゃ」の川島章良の妻。現在、娘と息子の育児をしながらアメブロ「川島菜月のオフィシャルブログ」で家事や育児について発信中。

 

取材・文/間野由利子