大きな買い物ほど失敗したくないと思いつつ、買った後からムダな出費と気づくことも。「理由はハッキリしています」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。原因と対策を教えてもらいました。

 

「欲しい」ものを「必要」と錯覚する心理

大きな買い物は家計に響くため、慎重に検討するのが鉄則です。にもかかわらず、購入してから「失敗したなあ」「お金のムダだったなあ」と、後悔した経験を持つ人が多いのではないでしょうか。

 

なぜか。大きな買い物をする前に、「ニーズ」と「ウォンツ」を見極められていないことが考えられます。「必要だから買う」がニーズ、「欲しいから買う」がウォンツになります。ニーズの行動が正解なのは言うでもありません。ウォンツの行動は浪費。後悔を生む痛い出費につながります。でも、ニーズとウォンツを自分で区別するのが容易ではないのです。

 

たとえば、欲しいものであればあるほど、「必要な」理由が頭の中に浮かんだりしませんか?すると、自分にとっての必要性がふくらんで、「欲しい」ものから「必要な」ものへ錯覚して買いたい衝動にかられます。結果、大きな買い物でも慎重な判断ができなくなってしまうわけです。

 

ですから買い物前にニーズとウォンツを意識し、両者がせめぎ合うときには、本当に必要なのかを突き詰めて考えてください。

「必要なもの」でもムダ買いになるケースが

本当に必要と判断しても、即購入するわけではありません。さらに見極めるためのステップがあります。必要なものが「高い性能や機能」などを満たしていなければならないかどうかの見極めです。

 

当然ながら高性能、高機能なものほど値段は高くなります。たとえば、冷蔵庫や洗濯機にしても、高性能や機能が充実した商品は高価です。それらは新製品として売り出されているため、魅力的に感じる人は多いと思います。

 

でも、必ずしも高性能、高機能なものが必要とは限りません。前述したとおり必要な理由が頭の中に浮かび、衝動にかられて購入したものの、“使いこなせなくてムダだった”となりかねないのです。したがって、必要と判断してもさらに一歩踏み込み、「そこまで高性能なものは必要?」「使いこなせるの?」などと、自問自答してみましょう。

 

かくいう私も失敗経験を重ねてきました。私の家には高性能かつ高価な一眼レフのデジタルカメラがあります。私が家族に「家族の写真がきれいに撮れる」「子どもたちの成長の記録が残せる」と必要性をアピールし、購入したものです。

 

しかし、いざ手に入れると、使うのは年に1、2回。まったく宝の持ち腐れで、家族から「部屋の隅に置きっぱなしだよね」などと小言を言われる始末に…。反省しています。


監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ