いっけん関係なさそうに思えることが、予想外の効果を生むのはどんな世界でもある話。「晩酌する夫婦」ほどお金が貯まるのもそのひとつ。その理由とは?家計再生コンサルタントの横山光昭さんに聞きました。

 

定期的に夫婦のコミュニケーションがとれるように

お酒好きの夫婦なら、夕食のときにふたりで晩酌することもあるでしょう。この晩酌には、貯蓄効果があると私は考えています。FPらしかぬ発言かもしれませんが、長年、家計相談をしてきた経験上、導き出されたマネー法則のひとつとご理解ください。

 

では、理由を説明します。夫婦でお酒を飲むとどんなことが起こるでしょうか。お互いに口が滑らかになり、ふだんよりも会話が弾むのではないでしょうか。その場では本音が語られるはずです。新たな一面を知り、互いに理解を深めることで結びつきます。

 

お酒を媒介にして夫婦のコミュニケーションが密になる、ここがポイントです。2万4000件以上の家計相談経験を踏まえていうと、貯まる夫婦ほどお互いの価値観が一致しています。価値観の一致には夫婦のコミュニケーションが不可欠で、その橋渡しに晩酌が一役買っている例も多く見られるのです。

 

共働きで互いに忙しいと、夫婦ふたりだけの時間をとるのは難しいもの。小さな子どもがいればなおさらです。そんななかでも晩酌をひとつの機会にすれば、ふたりの時間をつくりやすくなります。夫婦でお酒と会話を楽しみ、それが貯蓄につながるなら一石二鳥ですよね。

飲み会が減って家事分担につながる夫婦の例も

晩酌の効果はそれだけではありません。夫婦の家飲みが習慣化すると、互いに「外飲み」は減っていきます。「このお酒を買って家で妻(夫)と飲もう」となります。こんな考え方になれば、家飲みが日常になり、外食費も抑えられるようになるわけです。共通の楽しみ(晩酌)があると、家計にメリハリもつけやすく、互いに不満を抱かずにすむでしょう。

 

さらに相談者から聞く話では、家事負担を減らせる利点もあるようです。家飲みにハマったその夫婦は、料理好きの夫がお酒のつまみを担当。結果、週末はキッチンを占領してつまみ作りに没頭し、ふるまわれるのが習慣になったとのこと。妻は美味しいお酒とつまみを何もせずに楽しめる、と喜んでいました。

 

ただし、お酒の飲みすぎには要注意。余計なひと言からケンカに発展することもあるので、節度をもった晩酌が鉄則ですね。

 

監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ