鏡を見るたびに実感する老化は「シミやシワ」によるところが大きいと言われています。日光を浴びるだけで悪化するからやっかい。消化器内科医の工藤あきさんに対策を聞きました。

 

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老けて見える「顔、指、首」の共通点とは

── 女性の老化を感じやすい体のパーツはどこですか?という調査(※)によると、トップ3は「顔」「手・指・爪」「首・デコルテ」という結果でした。

 

工藤先生:これらのパーツで共通しているのは、日光に当たりやすい点です。人間が老けて見える大きな理由が、肌のシミやシワです。加齢による老化とは別に、日光を浴びることでシミやシワ、たるみなどの変化が起こることを「光老化」といいます。紫外線の強さや浴びる時間で光老化は進んでいきます。

 

── 紫外線を浴びると、なぜシミやシワの原因になるのでしょうか?

 

工藤先生:シミの原因は、紫外線を浴びてつくられるメラニンです。メラニンが肌に沈着すると、日焼けした色になります。通常では、ターンオーバー(細胞が新しく生まれ変わること)でメラニンがはがれ落ちて、肌は元の色に戻ります。しかし、紫外線によるダメージが蓄積されると、メラニンがうまく排出されずに残ってしまい、それがシミとなります。

 

── 日焼けが進行すると、シミになってしまうんですね。

 

工藤先生:シワは、肌の奥の劣化が原因です。紫外線は皮膚だけでなく、肌の奥深くにある細かい筋肉や脂肪などの皮下組織や、それを支える靭帯をも劣化させます。劣化して皮膚を支えきれなくなると、重力で皮膚が下がり、目の下やほお、あごがたるんでシワとなり、「ほうれい線」や口元の「マリオネットライン」が生まれます。

 

さらに、紫外線を浴びる量が蓄積されると、肌の老化だけでなく、皮膚がんの原因になるとも考えられています。

トマト、ナッツ、チョコレート…紫外線対策になる食材

── 紫外線の影響を受けないために、どんな対策をすればいいのでしょうか?

 

工藤先生:日焼け止めや日傘をはじめUV効果のあるグッズを活用されている方も多いと思います。晴れの日だけでなく、曇りや雨でも紫外線はつねに降り注いでいるので、外出の際は気をつけましょう。

 

さらに、食べ物を工夫してみるのも有効です。紫外線対策として積極的に摂取したいのは、「抗酸化作用」の高い食品です。

 

── 抗酸化作用とは?

 

工藤先生:紫外線を浴びると、体の中に「活性酸素」が発生し、肌にシミやシワなどのダメージをもたらします。活性酸素はウイルスや細菌を撃退する働きがある一方で、増えすぎると、正常な細胞や遺伝子まで攻撃してしまう厄介な存在。

 

その働きを抑えたり、活性酸素そのものを取り除いたりしてくれるのが、抗酸化作用の高い食品です。代表的なものでは、ポリフェノールを多く含むブルーベリーやイチゴなどのベリー類、高カカオ配合のチョコレート、リコピンを含むトマト、アスタキサンチンを含むサーモン、ビタミンCが豊富な緑黄色野菜、ビタミンEを含むナッツ類などです。

 

── 反対に、避けたほうが良い食品はありますか?

 

工藤先生:甘味料や着色料、保存料といった添加物は、活性酸素を発生させる原因のひとつと考えられています。ハム・ソーセージなどの加工肉、人工甘味料を含む清涼飲料水などがあげられます。また、酸化した食品もなるべく避けましょう。何度も使いまわした油を使った揚げ物やスナック菓子は、油の酸化が進んでいるため要注意です。

紫外線対策をしすぎると健康面で別のリスクが…

── 肌の老化を防ぐためには、紫外線対策はすればするほど良いんですね。

 

工藤先生:対策をするに越したことはないのですが、いっぽうで紫外線を避けすぎるとビタミンD不足の心配があります。ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても吸収されずにカルシウム不足になり、骨がスカスカになり骨粗しょう症につながるリスクが出てきます。

 

近年では、紫外線対策をする女性が増えたこともあり、妊婦さんがビタミンD欠乏状態になって、乳幼児の骨に影響を及ぼすケースも増えています。

 

── それでは、どれくらいの時間日光を浴びれば良いのでしょうか?

 

工藤先生:季節や場所、天候にもよりますが、目安は1日20分ほど外に出るように心がけましょう。日光に当てる皮膚の表面積を増やすと、その分時間は短くてすみます。どうしても紫外線のダメージを受けたくない部分には日焼け止めを塗り、足の裏など目立たないところを露出して、ベランダや窓辺で紫外線を浴びるのも有効です。

 

また、ビタミンDを多く含む食品を摂取するのもひとつの方法です。サケやサンマ、うなぎ、しらす干し、干ししいたけなどがあります。上手に紫外線対策を行いながら、健康なからだを維持していきましょう。

 

PROFILE 工藤あきさん

消化器内科医・美腸・美肌研究家。一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かしたダイエット・美肌・エイジングケアにも尽力。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。


取材・文/大浦綾子


(※)株式会社クロコス『女性の「手肌」や「ハンドクリーム」、「エイジングケア」についてのアンケート』より