生脚の露出が増える季節が到来。運動が苦手な人でもできる「ズボラゆるトレ」をSNSで発信中の、マンガ家のいしかわひろこさんの「脚ストレッチ」が話題になっています。
寝たままできて、翌日下半身がスッキリ
── 脚のむくみに効くストレッチに大きな反響があったそうですね。
いしかわさん:寝ころんだまま壁を使ってできるから、私と同じように運動嫌いな人にはハードルが低いのかも。「やってみました」「すぐに効果を感じられました」というお声をたくさんいただきました。
── 具体的にどんなストレッチ方法ですか?
いしかわさん:床に寝た状態で壁を使って、脚を垂直にあげ、ゆっくりと動かすストレッチ法です。深呼吸を続けながら、つま先をまっすぐ伸ばした状態で、膝を伸ばし、裏ももとふくらはぎをストレッチします。この状態で1分キープします。その後、伸ばしていたつま先を手前に曲げて1分キープします。これでももの裏側とふくらはぎが伸びます。
次に、足の裏を壁につけたまま膝を曲げて、股関節を1分間伸ばします。このときにひじを膝の内側に当てて、脚を外側にゆっくり押し出すとさらに効果的です。
最後に、壁からお尻を少し離し、左の足裏は壁につけたまま、右足を左足に引っ掛けて、ゆっくりと左膝を曲げるとお尻が伸びるのを感じられると思います。この3点セットを何度か繰り返します。
── 横になりながら脚やせストレッチができるのは楽ですね。
いしかわさん:そうなんです。逆さになることで、脚に溜まっていた水分が流れて、体が余計な水分を放出しようとする効果が働くのだと思いますが、このストレッチをやったあとは、すごくトイレに行きたくなります(笑)。フォロワーさんのなかには、「寝る前にこのストレッチをしてトイレを済ませてから寝ると、朝までトイレに起きなくてもよくなった」という人もいます。
私もそうですが、歩く時間が少なくて、座っている時間が長い人って意外と多いですよね。座っている姿勢は、股関節が90度に曲がっている状態です。その時間が長く続くと、脚の血流が悪くなって冷えたりむくんだりしてしまいます。
私もくつしたの跡が取れないほど脚がむくみやすいんですが、寝る前にこのストレッチをすると、翌朝下半身がスッキリして脚にメリハリが出ます。
ゆるく続けることで実感する「ご自愛」の大切さ
── 運動が苦手な人でもできる「ズボラゆるトレ」をSNSで発信するようになったきっかけはなんだったのですか?
いしかわさん:私、小さい頃から運動が嫌いで、できるだけ体を動かさないで生きていきたいと思っていたんです(笑)。けれど、30歳を過ぎてからどんなに寝ても疲れが取れなくなって。「なんだか調子が悪い」という状態がデフォルトになってしまったんです。特に9年前に出産してから、ガクッと体が変わってしまった実感がありました。
「このままでは心身をやられてしまう」と危機感を覚えて、子育ての合間に家でできる筋トレやストレッチを調べてやってみました。そうしたら、できないものが圧倒的に多かったんです。体が硬くてできなかったり、かえって体を痛めてしまったり…。
それで、「これなら、ギリできる」というゆるい運動を探しては試すうちに、ちょっとのことで体の調子がよくなって。その経過をマンガにしてシェアしたら、同じように運動嫌いな方や、産後や育児中の方が共感してくれました。
── 運動を続けることで、どんな効果を感じていますか。
いしかわさん:大きく調子を崩して寝込むことが減りました。自分の体と向き合うクセがついたおかげで、自分の体からのSOSに気づいてあげられるようになったように思います。
自分の体の声に気づいてメンテナンスしてあげられるのは、自分しかいないんですよね。「ご自愛」というか、「自分を大事にしてあげよう」と思えるようになったのが、いちばん大きな変化だと思います。
── 運動を継続するコツはありますか。
いしかわさん:私は日常生活にゆるトレを組み込んでいます。ドライヤーやはみがきの間にスクワットをするとか、階段を上がるときに、意識してお尻に力を入れるとか。寝る前には「ご自愛の時間」として念入りにストレッチをして、「おつかれさま」という気持ちでふとんに入るようにしています。
とはいえ、調子が悪くて何もしたくない日もあります。そういう日のお守りとして、負荷の小さい運動をたくさんストックしておくのもコツだと思います。調子が悪いときほど、「ちょっとでも体にいいことをしている」と思えるだけでも救われますよね。
その日の体調に合わせて選んだり組み合わせたりしてもらえるように、これからもいろいろなゆるトレを発信していけたらと思っています。お守りはなんぼあってもいいですからね。
PROFILE いしかわひろこさん
マンガ家、イラストレーター。Twitter(@kumainunews)で「運動嫌いだけど健康になりたい人」のための情報をマンガで発信している。著書に『オトナのがんばらない健康生活』(秋田書店)、『筋肉ゼロでもできるズボラゆるトレ』(KADOKAWA)。
取材・文/林優子 画像提供/いしかわひろこ