家計の金額設定で意外に悩ましいのが、夫婦それぞれの小遣い。どのように決めれば、お互いが納得するのか。家計再生コンサルタントの横山光昭さんのアドバイスとは?

 

おこづかいに何の費用を含めるかによって金額は変わってくる

30代会社員のおこづかい平均額は?

世の中の大人のおこづかいは、どれくらいなのか。新生銀行の『2022年会社員の小遣い調査』によると、男性会社員の平均額は20代が3万6792円、30代が4万149円、40代が3万8049円。女性会社員の平均額は20代が3万7624円、30代が3万3597円、40代が3万523円、という結果が出ました。

 

適正なおこづかいの額は世帯年収や家族構成によって異なりますから、平均値のこづかいがいいとは言えません。夫婦が互いに納得のいく金額に決めることが大切です。そこで、お互い納得できる決め方をアドバイスしましょう。

「ガソリン代もおこづかいから?」生活費との境界線は

おこづかいの金額を決めるときの最初のステップは、収入から貯蓄と生活費を引いて、余った金額から考えることです。そうしないと、家計を度外視した金額になってしまいます。当たり前のような話ですが、相談では意外とできていない夫婦は多く、まずはそこから始めます。「おこづかいの元手」がわかったら、金額を決めていきましょう。

 

ポイントは「おこづかいにはどの費用が含まれるのか」、夫婦の定義を合わせることです。前述の調査では、おこづかいの使い道は、「飲み代」「遊興費」「嗜好品代」といった項目があるいっぽうで、「昼食費」「スマホ代」「車関係・ガソリン代」「ファッション費用」「身だしなみのための費用」など、家庭によってはおこづかいに含めない項目もありました。

 

何をおこづかいでまかなうか、夫婦で価値観が異なっていると不満の種になります。あいまいにしないで、「スマホ代はおこづかいでまかなう」「ヘアカット代やガソリン代は生活費にしよう」など、費用ごとの定義を話し合いましょう。こうすれば、納得のいく金額と使い道をはじき出せるようになるはずです。

やりくり上手には「多めに渡す」とうまくいく

おこづかいでまかなう範囲と金額は、パートナーのキャラクターに合わせて変えても良いでしょう。たとえばやりくりが苦手なパートナーは、まとまったお金を渡してもうまくやりくりができず、ムダづかいしがちです。そういう場合は、「昼食代と遊興費だけをおこづかいでまかなってほしい」「スマホの通信料は生活費で」というように、おこづかいの範囲を減らしたほうがいいでしょう。

 

やりくり上手なパートナーなら、「スマホの通信料もおこづかいから払って」と範囲を広げて、その分、金額を増額渡したほうがいいかもしれません。すると、通信料の安いスマートフォンに変えたり、クーポンを活用したり、と自分で工夫するようになります。家計にとってもいい影響が出てくるでしょう。個性によってもやり方を変えることで、より納得のいくおこづかいの金額が設定できるはずです。

 

監修/横山光昭 取材・文/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ