夫と妻、育った境遇も違えば、きょうだいや親戚の数も違います。親戚とのつきあい方も異なるでしょう。夫の親戚とはどこまでつきあえばいいのかがわからず、悩んでいる女性もいるようです。

 

ひとりっ子妻「夫の親戚が多すぎるのがつらい」

結婚して4年。2歳の息子がいて、現在、妊娠中のマキコさん(36歳、仮名=以下同)。夫は地方出身で4人きょうだいの末っ子です。一方、マキコさんは首都圏で生まれ育ったひとりっ子。

 

「うちはほとんど親戚づきあいがなかったんです。父も母もきょうだいがいますが、離れた場所に住んでいるので。私は母方の祖父母が近くにいたから、かわいがってもらいましたが、父方はすでに祖母だけ。父方は遠いので、ほとんど行くこともありませんでした」

 

遠くの親戚より近所の他人と父はよく言っていたそうです。その言葉どおり、近所とのつきあいは「いつもはベタベタしないけど、困ったときには助けてくれる」関係を築いていました。そんなご近所関係を自分も望んでいたとマキコさんは言います。

 

「でも、いまは夫の会社の借り上げ住宅に住んでいて、同じ建物には夫の同僚や先輩もいるので、なんとなく気詰まりですね。それもあってか、夫はやたらと東京に住むきょうだいを家に呼びたがるんです」

 

そんな夫にも困っていますが、もっと困るのは夫の親戚づきあい。義両親もきょうだいが多く、結婚して4年たっても、「ほら、長野県に住んでいる叔父さんがね」と言われても「誰だっけ」という状態。続柄さえ把握できていないそうです。「それで困るのがご祝儀がらみです」。マキコさんはそう言って、眉間にしわをよせます。夫関係の親戚づきあいは、かなり密なのだそうです。

親戚の子にバラまくお祝い金で「家計が火の車」

「人間関係というよりは、お金が密なんですよ(笑)。どこそこの誰それが入学だ、卒業だ、就職祝いだ、結婚祝いだ、と、そのたびにご祝儀の強制が続くんです。具体的に金額が決められていて、何日までに叔父や叔母へ送って、その人が持っていくシステムみたい。でも、うちは子どもが産まれたときに、ほとんどお祝いが来なかった」

 

夫は「オレが末っ子だから」と謎の言い訳をしていたそうです。お祝い金も積もれば大金です。つい先日は、親戚の家で子どもが中学へ入学、その弟が小学校入学、さらに別の親戚では娘が結婚、その弟が大学入学とダブルやトリプルで祝い金が発生しました。

 

「きょうだいまで、従兄弟までと、範囲を決めたほうがいいと思う。私ももう少ししたら産休、育休に入るから収入が減るし。そもそも、うちはもっと将来の子どもたちのために貯金が必要な状況。他人にお金を贈る場合じゃないんだよ、と夫に説教しました。“こんなことになってるんだから”と、家計簿も見せたんです」

 

さすがの夫も少し顔色が変わりました。貯金まで取り崩して祝い金にあてているのですから、夫も危機感が募ったようです。

 

「だけどオレからは何も言えないんだよ。金額やつきあいの範囲は、本家が決めてそこから上意下達だから、と情けないことを言うんです。私が直接言おうか?と言ったら、ちょっと待ってと止められました」

いざとなったら直接言うしかないと決めた妻

ただ、彼女は「あなたの両親と、きょうだいとその子どもたち。それも単なる入学や卒業には出さない。そうしないとうちの子たちはランドセルも買えないからと言っておきました。夫は真剣な顔でうなづいていたけど、どうなることやら」

 

いざとなったら直談判するとマキコさんは決めました。近くに住む夫の親戚はいなく、年に1、2回しか会わない人の顔色をなんでそんなにうかがわなければいけないのかわからないからです。

 

「うちはうち。それが認めてもらえないなら親戚づきあいなんてしなくてもいい。そう言ったら、夫は涙目で私を見て、『マキちゃんは強いよね』って。情けないです」

 

どうやら闘う準備ができているのはマキコさんだけの様子。彼女の言い分はもっとも。唯々諾々と従っていたら、わが子にしてやれるはずのこともできなくなります。そこは夫にも本気で考えてほしいところです。


文/亀山早苗 イラスト/前山三都里