家賃や水道光熱費、クレジットカードの支払い。支払いが多いのに、口座の残高がない。あと数万円、どうやって工面すれば?家計再生コンサルタントの横山光昭さんに「奥の手」を教えてもらいました。

 

「どうしても現金が必要」なときプロが選ぶ「奥の手」とは?

お金がないときに工面する方法トップ3は?

支払いが重なって手持ちの現金がたりない。そんなとき、皆さんならどうしますか?auじぶん銀行の2019年のアンケートによると、お金がないときに工面する方法は、「親に借りる」がトップで21.2%。以下、「持ち物を売る(フリマアプリ・質屋等)」(17.8%)、「クレジットカードのキャッシング」(11.2%)、「入金の早い副業を行う」(7.2%)、「銀行系カードローンを利用する」(6.8%)などが続きます。

 

しかし、親には借りづらいし、売れるものがないとアンケートの1〜2位の手は打てない人もいるでしょう。かといって、3位のキャッシングも自分をコントロールできる人でないと、借りるクセがつき、借金がかさむ悪いスパイラルに入りかねません。その例が、20代のころの私です。ちょっとだけ借りるつもりがどんどん借りる金額が増えてしまいました。なんとか返済できましたが、つらかったです…。

キャッシング よりも「契約者貸付」がオススメ

キャッシングは最後の手段。その前にできることを考えましょう。たとえば、あまり知られていないのが、「生命保険の契約者貸付」です。これは、終身保険や学資保険、個人年金保険など、解約返還金があるタイプの保険に入っている人が利用できる制度です。解約返還金のうち、決められた割合の金額まで、お金が借りられます。

 

割合は、保険会社や保険の種類にもよります。たとえば住友生命の場合は、該当する保険なら解約返還金の6~8割まで借りることが可能です。借りている期間は利息が発生しますが、キャッシングほど高率ではありません。住友生命の場合は、年1.55%~5.75%でした(2023年4月現在)。借りたお金を返せば、払い込んだ保険料は元に戻ります。

200万円借りられる?銀行の「総合口座貸越」

銀行にも、生命保険会社の契約者貸付と似た、「総合口座貸越」というサービスがあります。口座残高が不足した状態で出金したり、自動引落しがあった場合、定期預金を担保に、不足分のお金を自動的に貸してもらえます。

 

たとえば、住信SBIネット銀行では、同一口座内に預け入れている円定期預金残高の90%か200万円、どちらか少ない額を上限に借りられます。利率も年1.65%です。ただし、生命保険の契約者貸付も銀行の総合口座貸越も、利率が低いとはいえ、自分のお金をわざわざ利息を払って借りるような話ですから、お得とはいえません。あくまで奥の手として考えたほうが良いでしょう。

 

ちなみに、銀行では、定期預金がなくても口座残高が不足したときに自動融資を受けられるサービスがあります。ただし、この場合はカードローンで融資を受けることになるので、カードローンの高い利率が適用されます。「総合口座貸越」と混同しやすいので、気をつけましょう。

 

監修/横山光昭 取材・文/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ 参考/Auじぶん銀行「ボーナス前のお金事情に関するアンケート」 https://www.jibunbank.co.jp/column/article/00225/

※金利などの情報は金融機関で必ずご確認ください。