バイトに興味を持つようになった高校生の子どもに、親として何を伝えるか。お金のプロがそんな場面で語ることとは? 6児の父でもある家計再生コンサルタントの横山光昭さんに聞きました。

 

「バイトを始めたい」と言い出したわが子にまず伝えるべきことは

バイトを始めるわが子に伝えた3つのこと

子どもが高校生になってバイトをすることに、親としては不安を感じるものです。私自身、高校生の子どもたちを前に、同様の思いをしてきました。その際、働くことの目的、お金の管理や使い方という“3つの視点”から、話をした記憶があります。

 

まず働くことの目的とは、何のためにバイトをするかです。お金を稼ぐのも目的のひとつにほかなりません。一生懸命に働き、対価を得る経験はとても大切です。ただし、稼ぐことだけを目的にすると次第に学業がおろそかになるので、その点は注意して見守っていました。バイトの目的はお金に限りません。職場に身を置くことは社会勉強になり、親以外の大人と接する貴重な機会でもあります。

 

子どもにはそういった話をして、学校とは異なる学びの場という認識を伝えていました。私は高校生のバイト肯定派です。学業を第一に、ムリのない範囲で働くのであれば応援したいと思っています。

 

次のお金の管理は当然のこと。はじめてバイト代を手にしたら、あれもこれも欲しいと気持ちが大きくなり、使い込んでしまう姿は想像できるでしょう。そこでお金の管理を教えることが重要になります。横山家ではバイトの給料日に貯めるお金を先に確保し、通帳に残しておくよう話しました。先取り貯金と同じ感覚で、余ったお金を口座から引き出して使います。親としての管理は通帳の残額を定期的に見せてもらうだけ。一見、放置しているように見えますが、子どもからしたら通帳をチェックされるので嫌でしょう。

 

加えて、大きな出費をするときには申告してもらうようにしました。たとえば、友だちと泊りの旅行に行くケースです。プランを聞いて予算を確認し、支払いをすませた後にはその金額が差し引かれた通帳を見せてもらいます。計画的な貯め方や使い方を通じて、お金の管理の学んでほしい、という思いでした。

「バイト代を何に使うか」親として出した条件

最後はお金の使い方です。自分の力で稼いだバイト代を無意味に使ってしまうのはもったいないこと。望むのは子どもにとって価値ある使い方でしょう。

 

横山家の場合、基本的には子どもの自由に使えるようにしました。自分の時間を費やして得たお金ですからね。自分の楽しみや将来の目標達成のために、実のある使い方をすることは伝えました。高校になると交際範囲が広がるので、友だちとの外食にあてたり、我が家では大学の学費を一部、子どもが負担するルールがあるため、その費用にあてたりして、子どもたちなりに充実した生活を実現しています。

 

なかには、お金の使い方に失敗したケースもありました。欲しかった楽器を買ったものの、長続きせず結局はムダになったときです。でも、失敗もいい経験。お金の誤った使い方で成長できたと思っています。


監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ