収入が上がらないから貯められない?収入が低いから貯金も少ない?「貯められるかどうかは、家計との向き合い方で決まります」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。2万4000件以上の相談実績をもとに明かす、貯蓄力のある家庭の条件を解説します。

貯金できるかどうかは「夫婦の年収より姿勢」

家計相談の経験を踏まえていうと、貯蓄力は必ずしも年収に比例しません。年収が高くても貯められない世帯、年収が低くても着実に貯金している世帯をよく目にしてきました。

 

貯蓄力は家計に対する「夫婦の姿勢」によって左右されます。年収に関係なく貯められる夫婦は、お金に関する考え方や行動などが明らかに異なるのです。相談経験を踏まえていうと、3つの特性があると思います。

 

ひとつ目は「リサーチの習慣」です。家計に関して何事も調べたり、比べたりすることに積極的です。たとえば毎月のスマホ料金が高いと感じたら、ネットでリサーチすると格安スマホの情報にすぐたどりつくはずです。格安スマホのラインナップ、サービス内容、善し悪しなどもネット上の情報で比較・検討が可能です。精査して格安スマホに乗り換えれば、スマホ料金を大幅に節約できるでしょう。

 

こうしたリサーチが習慣にしている夫婦は、結果的に貯金しやすくなります。とくに毎月確実に出ていく固定費に敏感で、“見直し”への意識は高いですね。

 

逆に、貯められない夫婦は家計に関するリサーチが浅い印象です。CMなど一方的に与えられる情報に飛びつき、あれもこれもと欲求を満たそうとして譲りません。結果、毎月の固定費は“メタボ状態”となって、食費などの変動費も膨らんで赤字に転落していきます。

「貯金なし夫婦」が貯められるようになるには

次は「家計の共有」です。夫婦がお互いに家計の状況を把握していることを指します。家計相談の際にこちらが質問したとき、夫婦お互いにきちんと答えられるお客様もいれば、どちらか一方しか答えられないお客様もいます。

 

貯金額ができる夫婦はあきらかに前者ですね。家計の収入や毎月の支出などについて、共有できている夫婦ほど貯金額は多いです。これは個々の給料やお金の使い方をオープンにし、毎月のやりくりや貯金計画などを夫婦で話し合っている表れだと思います。足並みがそろっているので貯まるのです。

 

逆に家計を共有できていないと、一方がやりくりして貯金に励んでいても、もう一方が浪費してばかりいるといった問題を招きません。貯めるために不可欠な協力体制ができていないわけです。夫婦が別々にお金を管理する“別財布”はその典型例で、お互いの収支が見えにくいと貯蓄力は半減してしまいます。

 

最後は、お金に対する「価値観の合致」です。夫婦が同じ価値観の家計は貯めやすいでしょう。「食費を抑えるために買い物は週1回に」、「マイホーム購入のために月10万円は貯金しよう」などと思いが一致するため、貯めやすくなるのです。

 

ただ、パートナーとお金の価値観がズレていても、絶対にお金が貯まらないわけではありません。ズレがある夫婦でも、それを受けられるかどうかが分かれ目になります。違いを認めて受け入れ、お互いに納得する話し合いができれば未来は変わってくるでしょう。

 

以上3つの特性を取り上げました。貯められる夫婦の条件を挙げましたが、少しでも参考になればと思います。


監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ