わが家ではとある事情から、おやつの買い置きが欠かせなくなっています。買い出しはめんどうだし、お菓子を常備しておくのは経済的にもダイエット的にも困りものなのですが…。私におやつの買い置きを決意させた「タンス臭の菓子事件」について綴ります。
高級アイスにいちご大福…甘やかしすぎでは?
数年前まで、わが家はそれほどおやつの買い置きの豊富な家ではありませんでした。しかし子どもたちが成長して食欲旺盛になるにつれ、私が用意するおやつがたりなくなることが多くなりました。
頻繁に「お腹すいた!おやつ何もない!」と騒ぐ子どもたち。決しておやつ置き場にひとつもストックがないわけではないのですが、子どもたちの好みではないお菓子が残っていたりすると、それはもう彼らにとって「何もない」ことになってしまうのです。そして私が仕事で不在にしている日は、子どもたちのその声はダイレクトに祖父母に届きます。
可愛い孫たちがお腹を空かせている!食べ物を与えなければ!と色めき立つのはどこの祖父母も同じようなものなのかもしれません。
しかし、子どもたちに言われるがままに、アイスが食べたいと言われれば夏の暑い日に自転車でコンビニまで出かけてはわざわざ高級アイスを買ってきたり、和菓子が食べたいと言われればバスで大型スーパーまで出かけていちご大福を買ってきたりと…それは少々甘やかしすぎでは?と目に余ることが増えてきました。
孫におやつを買い与えるのも祖父母の楽しみ、と言えば確かにそうなのですが…同居家庭であまりに頻繁にそれをされると、子どもたちがいつでも好きなものを買ってもらえると勘違いしても困りますし、義父母の金銭的な負担もばかになりません。
「変な匂いがする」義父のくれたお菓子
子どもたちの言うなりになっておやつを買うのはやめてください、と少々きつめに義父母に言い渡したところ、さすがにしょんぼりとして自重してくれた、と思ったのも束の間でした。今度は義父が、おやつを自室に買いだめするようになったのです。
子どもの好きそうなチョコレート菓子などを常にストックしては、隙を見て与えようとする義父。しかしそれが事件の発端でした。
ある日、子どもたちが私に「このお菓子(チョコレートのかかったビスケット菓子)、なんか変な匂いがする」と訴えるのです。
製品自体は子どもたちが好んでよく食べているもので、見た目も特に変わりはありません。ひとつもらって匂いを嗅いでみると、確かに、食品にはありえない、どこかで嗅いだことのある薬品の刺激臭がします。
まさか不良品?それとも毒物混入?いや、そもそもこんなお菓子、私、最近買ったっけ…?「このお菓子どうしたの?」と聞くと、「おじいちゃんがくれた」との子どもたちの返事です。
義父に、「このお菓子、何か変な匂いがするんですが」と問い詰めると、最初は「そんなわけない!」と言い張っていた義父も、「そういえばこのお菓子、しばらくタンスの中にしまっておいたかも…」と渋々認めました。
そう、お菓子から漂う異臭の正体は、昔ながらの樟脳(しょうのう)。わが家では義父母しか使っていない、タンス用防虫剤の臭いが移ったものだったのです。
子どもに任せれば高くつくから
食べる前に気づいたからよかったものの…と怒り心頭の私に、さすがに返す言葉もなくうなだれる義父。
このタンス臭の菓子事件以来、義父は反省し、お菓子を買い置きすることをやめてくれました。私は私で、子どもたちが義父母にお菓子をねだるそぶりを見せないために、家におやつの買い置きをきらさないよう心がけるようになった、というわけなのです。
しかし、やはり家にいつも美味しそうなおやつが積んであるというのは誘惑が多すぎて、健康的にも家計的にもよくありません。かといって子どもたちに買い物を任せると、量が少なくてお高いお菓子ばかり買ってきてすぐに食べつくしてしまいます。
やはり私がいつものようにディスカウントショップで、安いお菓子を買いだめしておくしかないのか…。今月のおやつ代と自らの体重計の数字を眺めては、ため息をつく日々なのでした。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ