実体験を描いたコミックエッセイ『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』が話題のマンガ家・水谷さるころさん。キレグセが治らなかった夫が幼い息子に手まであげた出来事や、そこから見えた「強者が自分の強さに気づきにくい構造」について聞きました。

親が子どもを叩くのは反対の立場です

──『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』では、「キレる」行為の延長線上で、父親であるノダDさんが幼い息子さんの頭を叩いたシーンも描かれます。

 

息子を叩いてしまう夫

水谷さん:まず、私は親が子どもに手をあげることに関しては反対の立場です。「親子の信頼関係がある、1回や2回くらい頭を叩いても大丈夫だ」と親が思っていても、子どもはそう感じていないかもしれない。

 

でも現実では、子どものころに悪いことをしてお尻を叩かれたとか、反抗期に親に思いきりしばかれたとか。親に手をあげられて育った子どもは普通にいますよね。私もそうでしたし、時代が変わっても、「しつけだから」と言って叩く親、叩かれて育つ子どもは、今も量産され続けています。

 

日本の法律では、2020年4月から家庭内での体罰は禁止されています。とはいえ、法律で禁止されたからといって、1回でも叩いたら「即逮捕」とかは現実的ではないし、でも「怪我させてないから大丈夫」なわけでもない。

 

そのあたりの線引きはすごく難しいですよね。だからこそ、「手をあげるのはだめ」と法で決めて、社会全体でそれを共通認識にしていく方向がやっぱりわかりやすいのでは、と個人的には考えています。