子どもにキレる夫をなんとかするため、夫婦でカウンセリングに通ったマンガ家・水谷さるころさん。その体験を描いたコミックエッセイ『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』では、「夫を人間として立体的に理解」し、「私のほうが普通じゃなかった」と知り、夫婦を見つめ直す様子が描かれています。

男社会は弱さを見せると不利になる

── キレる以外の感情の出し方をカウンセリングで学び、以前よりキレなくなったという夫・ノダDさん。著書では、妻である水谷さんの視点だけでなくノダDさんが前の結婚で授かったお子さん2人が「キレる父親をどう見ていたか」も描かれていますね。

 

水谷さん:そうですね。2人はもう成人しているのですが、うちともよく連絡を取り合っているので、「昔のノダDは父親としてどう振る舞っていたか」を聞いてみたんですよ。

 

そうしたら、息子はよく叩かれていたけれど、娘は叩かれたことがないってことを知って。

 

「もしかしてノダDは男児は叩いていい」って思っているんじゃないの…?と考えたり、それらが彼を人間として立体的に理解するうえでとても参考になった部分はあります。

 

カウンセリングなどを通じ「夫を立体的に理解」していく水谷さん

ただ、いろんなエピソードを聞いて思ったのは、これはノダD個人の特性というよりも、今の社会で男性として生きてきたことによる影響のほうが大きいのでは、ということです。

 

カウンセリングの先生もおっしゃっていたのですが、女性よりも男性のほうが、圧倒的に自己開示が下手な人の割合が多いそうなんですね。一般的に女性は、おしゃべりを通じて不満や弱音を他人に打ち明けるのが上手いそうなんです。もちろん個人差はありますが、男性よりはそうした練習の機会に恵まれやすい傾向にはある。

 

身体的な性差の違いではなく、後天的な社会構造として女性のほうが弱さや本音を出しやすい環境があるんだと思います。

 

──「男は涙を見せるな」「弱音を吐くな」と教わって育った世代の男性だと、確かに弱さを出す練習の機会がなさそうです。

 

水谷さん:男社会のコミュニティのなかでは、弱みを見せることがやっぱり不利に働くんだと思います。いじられやすくなるし、場のマイナス要因を引き受けるような役回りにもされやすい。そういうことを残念ながら経験則として学び、身についてしまった男性は多いのではないでしょうか。