「ある会合にこの本を持参したら、その場にいたママたちの食いつきがすごかったんですよ。何かしら心当たりがある女性は多いのかも」。自身の実体験をマンガ化した『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』を手に、水谷さるころさんはそう語ります。夫はなぜわが子の言動にキレたり不機嫌になったりしてしまうのか?執筆のきっかけと夫婦に起きた変化を聞きました。 

キレて不機嫌になる夫を何とかしたい

──『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』は水谷さん夫婦の実体験を描いたコミックエッセイです。執筆のきっかけは?

 

水谷さん:もう本当にタイトルの通りですね。コロナ禍になって、幼い息子と私たち夫婦の3人が家に引きこもる時間が増えたら、夫がキレちゃうことが増えて家族が困った、どうしよう?そこがスタート地点です。

 

コロナ禍で一緒に過ごす時間が増えるにつれ、子どもにキレるようになった夫

でもコロナ禍の前から、「夫が子どもにキレる」「あからさまに不機嫌になられて困る」といった悩みを結構あちこちで耳にしました。

 

モラハラやDVのようなわかりやすい行為であれば「黒」と言いきれますが、「キレる」は対抗できる人だと夫婦喧嘩になったりして問題がぼやけちゃうんですよね。うちも最初のころは私が対抗できちゃったので夫婦喧嘩になってしまった。なので夫婦で話し合ってなんとか改善できないかと思っていたんですよ。

 

でも、あからさまに「キレる」とまではいかなくとも、家族との食事中にむっつり黙って不機嫌を撒き散らすような態度を取られたり、一番問題だったのは保育園児だった息子の頭を叩くようなことがあって。

 

一度目に「もう二度としないで」と約束したのに二回目があって、これはもう自分たちだけじゃだめだ、と感じて夫婦でカウンセリングに行くことにしたんです。

 

──「キレる」のは夫で映像ディレクターのノダDさんですよね?彼ひとりでカウンセリングを受けるのではなく、水谷さんも一緒に夫婦で受けたのはなぜでしょう。

 

水谷さん:「子どもに加害行為をするのは夫側の問題でしょ。カウンセリングも彼だけが行けばいい。なんでそこまで妻がめんどう見なきゃいけないの?」と周りから言われたりもしたのですが、私たちが選んだところのメニューに「女性相談」「カップル相談」とあったのでじゃあ一緒に行くしかないのかな?って。

 

でも結果的には、夫婦でカウンセリングを受けて本当によかったです。

 

夫婦って、つまりは違う特性を持ったふたりですよね。だから、それぞれの特性や傾向がわかれば、お互いへの理解もさらに深まっていく。今回はカウンセラーの先生に間に立ってもらったことで、第三者からの冷静な意見がもらえました。