住吉美紀さんがパーソナリティを務めるラジオ番組「BlueOcean」。ゲストとのトークやリスナーからのお便りなどを題材に、月~金曜日に毎日放送されています。リスナーからのお便りに「わかるぅー!」と心から共感してくれる住吉さんの進行が好評で「共感の女王」と呼ばれることもあるほど。自身も「求められている時代になっているかも」と実感する、住吉さんの「共感力」とは。(全5回中の4回)

 

住吉美紀さん

「とりあえず」仕事をしている時間はない

── 2012年からパーソナリティを務めているラジオ番組「BlueOcean」でも、さまざまな方をインタビューしていらっしゃいますね。

 

住吉さん:そうですね。私は、人がひとりで経験談を話すのとは違うところに到達できるのが、インタビューや対談だと思っているんです。

 

聞き手がいるからこそ出てくる話や、出てくる言葉やアイデア、そこに生まれる空気とか、共感があるんですよ。

 

それこそがインタビューのおもしろみであり、私の役割かもれしない、とだんだん思うようになりました。

 

NHKを辞めたころ、自分の個性に悩んだんです。「注目されるような派手さがなく、センターステージで輝けない。私はダメなんじゃないか」と。でも、「そうか、私は受け止める芸なんだ」とここ数年で気づいてきました。

 

もしかしたら、それが求められる時代になってきたのかもしれない。最近、この道で頑張ってきて良かったと思うことが増えました。

 

派手な芸じゃないですが、混沌とした場を受け止められるとか、受け止めたうえで一緒にどこかを目指してみましょう、とか。「私と一緒なら」と皆さんに期待してもらえることが、本当にうれしい。これが私の社会のなかでの役割なのかも、と思える今日このごろです。

 

特に昨年4月に独立してからのこの1年、自分で直接仕事を受けて「なぜ私なんですか?」と伺うところから自分でやりとりするようになって、改めて感じたことですね。

 

住吉美紀さん
毎日朝9時から11時まで放送するラジオ番組「BlueOcean」。いつも明るい住吉さんの進行が好評で、この春で担当して12年目だそう

── 独立されたのは、どういった思いからだったんですか?

 

住吉さん:まず2020年にコロナに真っ先に感染して、体力回復にも時間がかかって。改めて健康に働ける期間は限られている、と実感したんです。

 

であれば「とりあえず」仕事してる時間はないし、「他の方がやったほうがいいかも」という仕事まで私がする必要はないか、と。「自分だからこそ役に立てる」という仕事と、ご縁を大事に仕事をするということを忠実に形にしていきたいという思いでした。

 

あと夫が飲食店を経営していて、ふたりでお互いの仕事を助け合いながら自営業でやっているので、アナウンサーという枠にとらわれず、大切な人と人生を編んでいきたい、と思いました。

 

そこで、より判断や時間の使い方の自由度が上がる形に踏み出す時期が来たのかな、と感じたんです。

 

私のライフワークとして、同じ時代を生きている方々の「共感のハブ的存在」になりたいというのがあります。

 

そこがラジオとも密接につながっていて。毎日元気にマイクの前に座って、誠実に言葉を編んで、みんなと一緒に心を動かしながら生きる。それがひとつの私のテーマでもあります。

 

住吉美紀さん
ラジオは年末年始も通常営業。元日からの生放送に着物で挑む住吉さん