日々の子育てを漫画にしてSNSで公開しているイラストレーターのさざなみさん。ある日の親子の会話を描いた作品に、Twitterで2.2万いいねがつき話題になりました。「とてもいい考え方」「人生で大切なことですね」というコメントをはじめ、多くの共感が集まったそのエピソードとは?
疲れてぼーっとしている娘…「なんで手伝うの?」
ある日の夕方。6歳の娘さんが歯を磨こうとして、なんだかぼんやりしています。その姿を見たさざなみさんは、歯磨きを手伝ってあげることに。
歯を磨かれながら「なんで手伝うの?私もう自分でできるのに」と不思議がる娘さんに、さざなみさんは「君が疲れてるからだよ」と答えます。
娘さんは「そっかー」と納得。着替えも、風呂上がりの髪のタオルドライもさざなみさんが手伝ってあげると娘さんは嬉しそう。
この経験が心に残ったのか、その後は娘さんから「おかあさんつかれたから着させてー」と、疲れたときは無理をせず手伝いを頼むようになったのでした。
甘えるの苦手な子への声かけ
さざなみさんにお話を聞くと、週に一度、習い事でスイミングをしている娘さんは、その疲れから帰宅後ぼんやりしていることが多いのだそうです。
「食事や歯磨き、お風呂など、いつもの習慣をなぞろうとする手つきがおぼつかなくて。本人に自覚が無いようだったので、疲れを自覚して甘えたり休んだりしてほしいと思って伝えました」
さざなみさんがそう伝えたのには、頑張り屋の娘さんの性格も関係していました。
「長女は、自分でできることは自分でしなきゃいけないと思っているところがあります。できることを手伝われるとムッとすることもあり、ひとりでやり遂げることに満足感を持つタイプなのかな、と思っています。
だけど、疲れたときに手伝ってもらった流れは印象に残ったようで、それからも何でもないタイミングで、今日は代わりに歯を磨いて欲しいとかスパッツをはかせてほしいとか、自然にお願いしてくれるようになりました。
Twitterの投稿にいただいたコメントにもありましたが、甘えるのが苦手な子は成長してから、疲れやしんどさを自分ひとりで抱え込んでしまうようになるかもしれない、と思いました。自分が甘えることで、他の人の甘えも受け止められるようになっていったらいいなと思います」
性格によっては、人を頼ることは勇気がいることかもしれません。でも「しんどいときは人に頼っていいんだ」という考えを身につけることは、自分の心身を守ることや他の人の辛さへの理解にもつながります。甘え下手な子にこそ、甘えることの大切さを理解してもらう声かけを工夫したいですね。
PROFILE さざなみさん
駆け出しのイラストレーター。Twitterで育児漫画やコミックエッセイを執筆。うどん県出身の2児の母。著書に電子書籍『この瞬間をきっとまた思い出す』(主婦と生活社)、『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! ~親子のコミュニケーション、試行錯誤中!~』(KADOKAWA)がある。
取材・文/阿部祐子