「生まれ育った町で子育てがしたい」。ワンオペ育児でヘトヘトだったという妻の思いに応えるように、都内から山形県鶴岡市に移住した株式会社ショーケースの前田大地さん。移住から約1年、実際の生活ぶりをお聞きしました。車社会、雪かき必須の日常など、東京では縁がなかった文化に最初はとまどったそうですが…。
第三子の出産で家の狭さが限界に
── 都内から山形県鶴岡市へ移住した理由を教えてください。
前田さん:妻は地元の鶴岡が大好きで、以前から「将来的には鶴岡で子育てをしたい」と言っていました。移住する前も、年末年始、春休み、ゴールデンウイーク、夏休みと、年4回は子どもを連れて帰省していたほどです。
実現に向けて大きく動き出したのはコロナ禍です。わが家は僕と妻、6歳の長女、4歳の長男、1歳の次女の5人家族なのですが、外出自粛の生活が続いた時期に、家の狭さが気になりはじめて。
マンションには小さな庭があったのですが、自粛によりあり余ったパワーを持つ子どもたちが遊ぶと近隣にご迷惑じゃないかと気が気でなく、日々窮屈に感じていました。さらに第三子が生まれて、部屋の数に限界を感じたんです。
ちょうど会社が在宅勤務に続き、先行してエンジニア職は住む地域に関係なく採用するというフルリモート採用を始めたので、「じゃあ広報の僕でも必要に応じて出張で東京に来るスタイルだったら、可能性があるんじゃないか」と上司、役員へプレゼンをして制度化してもらい、本格的に移住の話を前に進めることになりました。
── 前田さん自身は、移住に対して特に大きな抵抗はなかったのですか?
前田さん:僕は離島出身で、幼少期から東京に引っ越し、高校時代に留学した際はホームステイや寮生活も経験していて、住む場所に対してあまりこだわりがないんです。それに、僕も家族と一緒に鶴岡に足を運ぶたびにいい町だと思っていたので、特に抵抗はありませんでした。
── パートナーは出産後、育児に専念されていたのですか?前田さんのブログには「育児でゲッソリしている妻を見るのがつらかった」と書かれていましたが…。
前田さん:僕は普段は在宅勤務ですが、家にいても業務中なので基本的に妻のワンオペになります。しかもコロナ禍で幼稚園が休園になったり、外出自粛で外に出られなかったり。それも0歳児を抱えて…となると、専業主婦とはいえ大変そうでした。
── 移住する際、大変だったことはありますか?
前田さん:マンションの売却でしょうか。移住する日程は決まっていたので、それまでにちゃんと売却できるか落ち着かない日が続きました。子どもたちが幼稚園に行っていて、かつ0歳児が静かな時間を狙って内見の予定を調整するなど忙しかったです。
最終的に、新築の頃からうちのマンションを購入したいと狙っていた方にお売りしました。ずっと中古物件がでないかと狙っていたようで、その熱意にご縁を感じて。
ちなみに、当時は猫を飼っていたので、猫用に小さなドアを取り付けていたんです。それが売りポイントのつもりでしたが、購入された方は猫を飼ってはおらず、反応が薄かったですね(笑)。