小学校の給食で毎日飲んでいた牛乳の銘柄を覚えていますか?2022年末に地図メーカーの株式会社ゼンリンが公開した「小学校の給食牛乳マップ」が、Twitterで話題になりました。マップから浮かび上がる意外な事実や、牛乳業界の現状とは──?

 

懐かしい学校給食の牛乳瓶のフタ
懐かしい!学校給食の牛乳瓶のフタ

同じ市区町村でもバラバラ!全国に340もの銘柄が

── 何百種類もの牛乳の分布が記された日本地図は衝撃的でしたが、なぜこのようなマップを作られたのですか。

 

担当者A:弊社の公式Twitterアカウントでは「地域の特徴を地図で表現する取り組み」をしています。

 

昨年5月に「小学校の修学旅行先」をまとめたマップを公開したところ、たいへん好評をいただきまして。Twitterチーム内の会議で挙がった次なる企画が「給食の牛乳」でした。

 

チーム内で話しても、全国にいる有志の社員に聞いても銘柄がバラバラだったので、「これはTwitterで回答を募れば、おもしろいことになるんじゃないかな」と思ったのがきっかけです。

 

ゼンリンが本気で作った「小学校の給食牛乳マップ(全国版)」
ゼンリンが本気で作った「小学校の給食牛乳マップ(全国版)」

── 驚くほどたくさんの銘柄がありますね。

 

担当者A:6000件余りの回答を集計した結果、300以上もの銘柄が出揃いました。「都道府県や市区町村ごとに違うのかな」と予想していたのですが、まさか同じ市町村でもこれだけバラバラだったとは!びっくりしました。

 

担当者B:同じ市内でも銘柄が分かれていますし、年代によっても違います。回答してくださった方の年代も、中高生から「脱脂粉乳」と回答してくださる年代までさまざまでした。残念ながら「脱脂粉乳」は外させていただきましたが。

 

── 私は給食の牛乳をまったく思い出せないのですが、みなさんよく覚えていますね。

 

担当者A:「覚えていない」という回答もたくさんありましたよ。記憶されている銘柄には、いくつかの特徴があるんです。

 

一つは、その土地に根づいた銘柄です。給食でも家庭でも飲んでいたから、大人になっても記憶に残っている。北海道、栃木県、群馬県など酪農が盛んな県は、やはり地元の銘柄が多いですね。

 

二つ目は、地元に工場がある銘柄。工場見学へ行ったことを覚えている人もたくさんいました。

 

三つめは、キャラクターが印象的な銘柄です。「とやまアルペン乳業」の「モーモーちゃん」や「やまぐち県酪乳業」の「ベルちゃん」は、回答が多かったですね。

 

担当者B:愛媛県で圧倒的シェアを持つ四国乳業の「らくれん牛乳」も覚えている人が多かったですね。「らくれん牛乳は全国区だと思っていた」というコメントがたくさん集まりました。

 

沖縄県は「学校給食牛乳」という直球のネーミングが記憶に残りやすかったようです。

 

実は、集計し始めたころはまさか商品名だと思わず、外してしまっていたんです。しかも、集計を進めるうちに同じ「学校給食牛乳」でも「沖縄明治乳業」と「沖縄森永乳業」とメーカーが分かれていることがわかって、集計をやり直しました。

 

調べていくうちに、驚くこともありました。

 

愛知県で6割の人が挙げた「名古屋牛乳」は、社名はそのままですが現在は牛乳ではなくて栄養ドリンクを販売しています。「京阪牛乳」も社名はそのままに、病院や介護施設向け家具のレンタル事業に転換しています。

 

なくなってしまったメーカーもあって、牛乳業界の厳しさを感じました。

 

担当者A:メーカーもさることながら、酪農家さんも大変です。特に学校が休みになり、牛乳を飲む人が減る年末年始は厳しいですよね。飼料も高騰していますし…。

 

担当者B:それもあって、意地でも年末にマップを公開したかったんです。制作の過程で、農水省の方や牛乳業界の方からも応援や期待の声をいただきましたし、「このマップが話題喚起のきっかけになり、牛乳業界を少しでも盛りあげられたら」という思いがありました。