急な飛び出しや迷子防止など、子どもの安全を守るために使用されるハーネス。ところが、見た目の印象から「ペットみたい」「子どもがかわいそう」といった声も少なくありません。漫画家であり一児の母である西野みや子(@miyakokko61)さんは、ひと目で「安全対策」と分かるハーネスを考案。それをTwitterに投稿したところ瞬く間に反響を呼び、1年後に商品化が実現しました。
ハーネスは子どもの命を守るもの!
── 2023年1月29日までクラウドファンディングで「子どもの安全第一ハーネスプロジェクト」が展開されていました。最終的に1025%の達成率を記録、600万円以上もの支援が集まりましたが、なぜハーネスをつくろうと?
西野さん:数年前、妊娠中にたまたまTwitterのトレンドで「子ども用ハーネス」が話題になっているのを目にしたのがきっかけです。
あるママさんが、外出時にハーネスを使っていたところ「ペットみたいで子どもがかわいそう」「今のお母さんは育児をラクしてる」と言われて傷ついてしまったと。それに対し、同じような経験をされている人たちが少なくないことを知りました。
「そうか、ハーネスを使うと世間からそういう目で見られてしまうのか…」と、衝撃を受けたのを覚えています。
その後、息子が生まれてちょこちょこと歩き始めるようになり、わが家でも安全対策としてハーネスの導入を考えていました。すると再び「子ども用ハーネス」がTwitterで話題になっていたのです。
── そのときもハーネスに対してマイナスな声があったのですね。
西野さん:ええ。前回のトレンド入りから1年以上経っているのに、まだまだ世間の印象ってよくないんだなと感じました。息子の安全のためにハーネスを使いたいだけなのに、周りから文句を言われてしまうのかなと…。
その当時私は、コロナ禍で妊娠と出産をしたこともあって、家族以外に誰とも会えずいつも孤独を感じていたんです。そんな状況下で、外に出て見ず知らずの人に心ない言葉を言われたら、もっと孤独になってしまいそうだと。そう考えていたら、なんだか無性に腹が立ってきまして(笑)。
誰が見ても「これは安全対策のためのハーネス。子どもの命を守っているもの」と、それがひと目で伝わるデザインにすれば文句は言われないだろうと、半ば怒りと思いつきでアイデアを一気に描いてTwitterに投稿したんです。それが、2021年11月。その投稿にはたくさんの反響をいただきました。
──「いいね」は2万以上、リツイートも7000を超えています。もともと、ハーネスにはどんな印象を抱いていましたか?
西野さん:息子が生まれる前までは、ハーネスを使用しているお子さんを見ても、「かわいいな」ぐらいにしか思っていませんでした。ところがいざ、息子が歩くようになってその思いは一変しました。
とにかく子どもは、じっとしていないですよね。たとえばマフラーをする一瞬の隙に「あれ、どこいった?」と息子の姿を見失ったり、横断歩道で手を繋いで待っていたら急に飛び出そうとしたり。ハーネスを使っている人たちは、実は子どもを必死になって危険から守っていたんだなと、息子が生まれて気づかされました。今ならハーネスを使う気持ちがよくわかります。