保険適用がスタートし、不妊治療について改めて考える機会が増えた2022年。そもそも私たち女性自身が「自分の身体の仕組み」についてもっと知る必要があるのかもしれません。人生における大切な選択において後悔しないためにも、本当に必要な不妊治療について考えるべく、長年不妊治療の第一線で治療にあたってきた浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお話を伺いました。

生まれた瞬間から卵の数は決まっている

不妊はなぜ起きるのでしょうか。卵管の詰まり、子宮筋腫や内膜症といった臓器のトラブルから、無排卵などホルモンバランスの問題まで、要因はさまざまで複雑。検査をしても原因が特定できないということがほとんどです。

 

「特に重要なポイントとなるのが、年齢です。妊娠率は35歳から徐々に下がり始め、38〜43歳でグッと下がる。つまり、年齢が妊娠率を下げる一番大きな要因といえます。

 

年齢が高くなれば、まず卵子の老化は避けられません。そもそも、女性の卵子は生まれる前に一度だけ作られるもので、その後二度と作られることはないんです。人が誕生したときから卵の数は決まっていて、年齢とともに減っていき、機能も低下していきます。負担の大きい妊娠から高齢に差しかかる女性の体を守る自然の摂理なんですよ」

 

妊活がうまくいかない女性のイメージ
妊活がうまくいかない女性のイメージ

浅田レディースクリニックの外来患者の平均年齢は2004年は35歳でしたが、10年後の2014年には40歳となり、なんと5歳もアップしているそう。

 

不妊治療はまさに、卵子の老化と身体の機能の低下と向き合うことから始まるといえます。