火災保険を自分で契約すると格安に!?
──退去時、原状回復費用を抑えるために何かアドバイスはありますか。
なかゆーさん:なるべく入居時の状態を保つことが大事です。特に汚れがたまりやすい風呂場やトイレ、キッチンなどの水回りは日頃から小まめに掃除をしておきましょう。
また、先ほどもお話しましたが、喫煙による壁紙のヤニ汚れは退去時にハウスクリーニング費用が高くなるため、できるだけ部屋でのタバコは控えたほうがいいですね。
ほかにも賃貸のお部屋でペットを飼われている場合は、ペットを飼われていないお部屋と比べて傷やニオイ・汚れがつきやすいことから、敷金償却といった退去時に敷金が戻ってこない契約になっていることが一般的です。場合によっては追加で1か月以上分の敷金を請求されることもあります。
ペットの引っかき傷からお部屋を守るために、床にクッションフロアを敷いたり、壁にはがせるクロスを貼ったりしておくといいですね。
── クッションフロアやはがせるクロスは、小さいお子さんがいるご家庭でも重宝しますね。
なかゆーさん:おっしゃるとおり。ちなみに賃貸のお部屋でお子様が壁やドアに落書きをしてしまった場合、退去時に原状回復費用が請求されます。ところが、入居中であれば火災保険が適用できる場合もあるんですよ。
──火災保険ですか。
なかゆーさん:はい。火災保険で「借家人賠償責任補償(以下、借家人賠償)」という特約がついていれば、子どもが落書きした場合でも補償が受けられるケースが多いんです。
火災保険は、一般的に賃貸契約を結ぶ際に必ず加入を勧められるもので、不動産屋が指定する保険は2年契約でだいたい2万円前後の相場が一般的です。ところが自分でネットから申し込みをすれば、1年4000円で補償レベルが同等の保険に加入することができます。ただし、物件の契約時に管理会社に交渉をする必要があるので注意です。
── それは、かなりお得になりますね。
なかゆーさん:そうですね。一般的にネットからの申し込みでも賃貸用の火災保険には、特約で「借家人賠償」がついています。一方、保険料があまりにも安い場合は「借家人賠償」が特約で付帯されていないケースもあるので、そこは忘れずにチェックを。「借家人賠償」が適用されるのは入居中であることが条件のひとつです。
よくあるのが、部屋の解約の際の「退去立会い」で汚損破損が見つかって、火災保険を使えないか保険屋に連絡して断られる件です。退去時(家の解約の手続きを行った後)ですと保険が適用にならないので、ご注意ください。
PROFILE なかゆー(中野由妃絵)さん
都内で不動産会社を経営する業界歴9年の宅地建物取引士。一律報酬のお部屋探しサービス「ichikari(イチカリ)」を運営。Twitter(@ichikaritokyo)やYoutubeなど、SNSで8.4万人ものフォロワーをもつ。
画像提供/なかゆー