賃貸の退去時、住んでいた部屋をもとの状態に戻す原状回復。入居中に生じてしまった汚れや傷の修復費用は、いったい誰が負担するの?そんな疑問に答えるわかりやすい画像がTwitterで話題になっています。画像をツイートした、都内にある賃貸仲介サービス「ichicari(イチカリ)」の代表である宅建士のなかゆーさんに、原状回復のトラブルが起きた際の対処法や原状回復費用の抑え方を伺いました。
賃貸契約の「特約」チェックでトラブル防止!
──「退去時費用でよくある質問」を示したTwitterの投稿に2万件を超える「いいね」がつき、大きな反響を呼んでいますね。「わかりやすい!」という声が多いようです。やはり、退去時の原状回復費用をめぐるトラブルなども多いのでしょうか。
なかゆーさん:私どもは賃貸仲介がメインになるため、退去時のトラブルに関しては実態を把握できていないのですが…。お客様から聞いた話によると、一般的にオーナー側が負担する項目を、退去時に入居者側にしれっと請求をするような管理会社もあるそうです。
── 原状回復費用についてはガイドラインで決まっているんですよね。
なかゆーさん:そうですね。ただ、賃借契約の中に「特約」があると、そちらが適用になります。
原状回復費用について簡単に説明しますと、一般的にお部屋は時間の経過とともに壁や床が変色したり、きちんと掃除をしていても傷や汚れが生じたりしますよね。そういった経年劣化や通常損耗については「オーナー負担」となる一方、借主の故意や過失で生じた傷や損耗は「入居者負担」になります。これが基本の考え方になります。
ところが、賃貸契約内にある特約事項で「入居者負担」と明記されているものは、上記のガイドラインではなく、特約が有効になります。物件ごとに特約が違うので、その点は注意が必要です。
── どのような特約が多いのでしょうか。
なかゆーさん:鍵交換代やハウスクリーニング費用(原状回復費)を特約で入居者負担としている物件が多いです。
特にハウスクリーニング費用の相場は、部屋の広さにもよりますが、1Rや1Kだとだいたい2〜3万円ほど。ところが、入居中に掃除をあまりしていなかったり、喫煙で壁紙にヤニがついていたりした場合、通常使用以上の汚れとしてハウスクリーニング費用に上乗せして代金が請求されるケースがあります。
── 借主が「これは私たちの負担ではないのかも?」「ここまで負担するものなの?」と思ったら、どうすればいいのでしょうか。
なかゆーさん:退去時に見積りを出された時点で、すぐにサインをしないことです。いったん見積書を持ち帰り、賃貸契約書内の特約事項で「入居者負担」と明示されているかを確認してください。そこで「入居者負担」となっていない場合は、見積の内容を覆せる可能性は高いですね。
もしくは各都道府県の消費生活センターに電話をして相談するのも手です。実際、私も退去時にハウスクリーニング代である3万5000円に加えて、風呂場の鏡のウロコ汚れを落とす清掃費として1万6000円を追加で請求されたことがあるんです。高額な追加費用に納得できず消費生活センターに相談したところ、「払う必要がない」と。
このように、本来は入居者が払う必要がない費用まで退去時に請求してくる業者も残念ながらいるため、「おかしいな?」と思ったら専門家に相談したほうがいいですね。