キャラクターになりきるために筋トレ
── コスプレをするのに予算を決めていますか?
鷹村さん:コスプレはこだわりだすとキリがなくて。家族にもかかっている費用は言っていないです(笑)。
生地にこだわる人だと、「私の好きなキャラクターはペラペラの生地の服は着ていない」と1メートル1万円くらいの生地を10メートル買ったりしますし。キャラクターの世界観に沿ったオーダースーツや鎧まで作る人がいるくらいで…上限がない世界なんですよね。
──「そのキャラクターになりたい! 」となりきるのがコスプレの醍醐味なのですね。なりたいキャラを見つけてから、作品として世の中に発表するまで、どれくらいの期間をかけて準備するのですか?
鷹村さん:『ONE PIECE』のハンコックにしても、おなかが出る衣装を着るので腹筋をつくらなければならない。「まだ、ダメだな」とか(笑)、様子を見ながら準備しています。たいてい3〜4か月くらい先の予定を組んでいますね。
── キャラクターに寄せた体型づくりはどのように?
鷹村さん:基本は筋トレですね。子どもたちが小さいとき、抱っこ紐をしていたら、自分の背中のぜい肉が盛り上がっているのに気づいて。「うわっ、何これっ! 」って驚愕しました(笑)。バストの肉も、意識をしていないとどんどん背中のぜい肉に流れていくんだなって実感して、やっぱり鍛えないとダメだなって。
── キャラクターに寄せていくのも、努力のたまものなのですね。
鷹村さん:画像加工ソフトで画像修正はできるのですが、腹筋は最初から割れているほうが加工しやすいんです。私はデザインの仕事をしていたので『Adobe Photoshop』を使っての加工には慣れていて。コスプレは、加工までがコスプレ、と思ってやっています。
── そうなのですね(笑)。「人はみんなオタク」というのはその通りだと思いますし、「お母さんの機嫌が良いのがいちばん」というのは、鷹村さんのお話を聞いていてすごく伝わってきました。
鷹村さん:自分の機嫌は自分で取るのがいいのが良いって思う。自分に養分を与えるためにオタクパワーって偉大なんです。
PROFILE 鷹村アオイさん
1976年生まれ。19歳からゲームキャラクターのコスプレを始め、現在もレイヤーとして同人誌即売イベントなどで作品を発表している。プライベートでは中学生と小学生の女の子の母。
取材・文/池守りぜね 写真提供/鷹村アオイ