時間割を作成&振り返りで自立をサポート

── 参加するプログラムはどうやって選んだらいいでしょうか?

 

加賀谷さん:学校の時間割と同じように、オンラインプログラムにも時間割があります。

 

学校は、時間割通りすべて参加しますが、カタリバでは、子ども自身が興味があるプログラムを自分で選び、オリジナルの時間割を組み立てていく感じです。ただ、時間割を組み立てるのが難しい場合は、メンターと呼ばれる人と相談しながら、時間割を作っていきます。

 

たとえば、月曜日であれば以下のような感じです。

 

  • 9時00分~9時25分「サークルタイム(朝の会)」
  • 9時30分~10時15分「エクササイズクラブ」
  • 10時30分~11時15分「自主学習」
  • 11時15分~13時00分「お昼休み」
  • 13時00分~13時45分「AIドリルを使った個別英語学習」
  • 14時00分~14時30分「サークルタイム(帰りの会)」

 

── 時間割を組み立てても、子どもによっては計画通りに参加できないこともあるのでしょうか?

 

加賀谷さん:それでも大丈夫ですよ。計画を立てて、一週間ごとにメンターと一緒に振り返りをしますが、その際「今週はどうだった?大変だったらプログラムを少し減らす?」「来週はどうする?」など、徐々に自分でも無理なく時間割が組めるようにサポートしていきます。

 

また、自分が立てた計画に沿って行動すること自体、子どもたちにとっては小さなチャレンジです。毎週、繰り返しやることで少しずつ行動できるようになってきます。

メンター制度を取り入れて1対1で支援

メンターが一人ひとりサポートします

── 改めて、メンターとはどのような存在ですか?

 

加賀谷さん:メンターは、子ども一人ひとりに専属でつき、継続的に学びのカタチをサポートしていきます。

 

子どもと一緒にたわいない話をしたり、お絵描きをしたり、勉強をみたりしながら子どもと信頼関係を築いていきます。子どもたちとも距離が近いお兄さん、お姉さんという感じでしょうか。

 

メンターと子どもは、1対1の面談を毎週1回行います。その後、メンターやメタバースの雰囲気に慣れてきたら、個別のプログラムに誘ってみる。さらに、2、3人の子どもがいる場所でも打ち解けて話せるようになってきたり、本人の意欲が見られたりした際には、集団プログラムにも繋げていきます。

 

── メンターと子ども、保護者との連絡はどうやって取りますか?

 

加賀谷さん:子どもは週1回メンターと面談し、保護者は月1回、子どものメンターとは違う専属スタッフとオンライン上で定期的な面談を行い、子どもや家庭の状況を伺います。

 

── オンライン不登校支援プログラムの目指すところは?

 

加賀谷さん:それぞれの子どもが一番その子らしい方法で学びに繋がるのをサポートすることです。必ずしも学校に復帰させることを最終目標にしているわけではありません。

 

もし、お子さんとご家族が学校にもう一度通いたいと思っていて、「でもこういう部分が不安」というのをシェアしてくだされば、「不安をどうやって解消しようか」と相談にのったり、学校に働きかけたりすることもあります。

 

カタリバは、現在7つの自治体と連携してオンライン不登校支援プログラムを提供しており、基本的には連携した自治体からのみ利用者を受け入れています。さまざまな自治体でメタバースを活用した不登校支援の取り組みが行われていますが、こうした新しい学びのあり方が世の中に広がっていくことを期待しています。

 

PROFILE 認定NPO法人カタリバ

認定特定非営利活動法人カタリバ。中高生にとって、親や教師(タテ)でもない、友だち(ヨコ)でもない、少し年上の先輩などの「ナナメの関係」を重視している。

 

取材・文/間野由利子