大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、熟年離婚を考える実母について悩む女性の相談にお答えします。

 

「熟年離婚を望む母が心配!なんて声を掛けるべき?【心理士に聞く】」P1
「熟年離婚を望む母が心配!なんて声をかけるべき?【心理士に聞く】」P1

【Q】熟年離婚を考える母…なんとか思いとどまらせたいけれど

この冬、子どもたちを連れて帰省したら、母(67)から父(70)と離婚したいと打ち明けられました。父にはまだ伝えていないそうですが、家ではほとんど口をきかない状況のようです。

 

両親の不仲は今に始まったことではなく、子どものころから感じていたことでした。母からはよく愚痴を聞かされていて、どうやら家庭に無関心であることが最大の不満のようです。無関心は現在も続いているのですが、子育てにも無関心だった昔のことを思い出すと腹わたが煮え繰り返るのだとか。

 

「離婚」と聞いて、なんで今さら?と思ったのですが、「残りの人生を自由に過ごしたい」と決意は固いようです。母は経済的に自立していませんし、私としてはなんとか踏みとどまってもらいたいという気持ちです。現状を維持したまま、母のモヤモヤを少しでも楽にしてあげられることはありますか。どんな声かけをすればよいか教えてください。

何年経っても忘れない!無関心だった夫の態度

「子育てに無関心だった昔のことを思い出す」というのは、熟年離婚の理由としてよくある話です。出産後に夫婦関係が悪化してしまう「産後クライシス」という言葉がありますが、それほど妊娠・出産・育児中の父親の関わり方によって、その後の夫婦関係は変わってしまいます。

 

妊娠・出産・育児中に夫がやってくれたこと・やってくれなかったことは、記憶に残りやすいと言われます。無関心な態度を取られた記憶が強ければ、何年経っても「あのとき無関心だったくせに…」という思いはきっと消えないと思います。だからこそ、「妊娠・出産・育児中の奥さんを大事にしてね」と世の中の男性陣に伝えたいです。