塾の送迎、食事の管理、志望校選び… 、受験は山のような負担となって親に覆いかぶさってきます。でも、親にとっての受験とは何なのでしょうか?クリスマスも正月もなく、寒さに耐えて受験に挑むわが子に寄り添う、本当のエールについて考えます。

 

子どもの心理専門家が明かす「受験生の親」がやるといい3つのこと

加熱する中学受験「子ども以上に親が前のめり」

── 2021年の中学受験者数は過去最高を記録しました。子どもを早めに塾に入れなければと追い立てられ、塾の送迎、食事の管理、志望校選びなど、本人以上に必死になる保護者も多いようです。そして、親子ともにプレッシャーや不安を感じています。

 

藤後先生:お子さん自身が受験で不安を感じるのは自然なことですが、保護者が必要以上にプレッシャーやストレスを感じているように見受けられます。

 

まだ学歴への信頼が厚い背景や、子どもの「受験結果」が「親の評価」に結びつくと感じてしまうためではないでしょうか。

 

本来、受験は子どもの問題です。でも、子どもの合否をまるで自分ごとのようにとらえる保護者はとても多いです。そうした保護者のがんばりを周囲も評価する風潮があります。

 

私が研究する子どものスポーツ分野においても、親が子どもの問題を自分ごとのように感じ、行き過ぎた応援や口出しをして子どもを傷つけるケースが報告されています。

 

受験とスポーツでは状況も異なりますが、どちらも親子の過度な“一体化”傾向がみられます。

 

これは、「幸せに生きるための心理学」を提唱したアドラー心理学の考え方を用いると、親子間の“課題の分離”ができていない状態です。

 

── 子どもの合否は親次第だと考えて責任を背負い込むと、親が必要以上にがんばってしまいますね。

 

藤後先生:そのため過剰な不安感から先回りし、子どもの意見や希望を通り越して志望校や勉強時間の管理まで親が決定する“過干渉”状態が起きやすいです。でも子どもが過ごす環境は、子ども自身がしっかりと考えて決めるべきです。

 

親が協力するなら、情報収集や子どもだけでは明らかにしにくい本人の希望を話し合いでくみとって、志望校決定につなげるところまでくらいでしょう。