いつから海は“美しさの象徴”ではなくなったのでしょう。プラゴミが散乱し、生態系を狂わせ、漁業を営む人を苦しませる。“海はきれいで楽しい場所!”海女と漁師が立ち上がり、リサイクル活動を展開。ちょっと立ち止まって海の美しさについて考えてみませんか(全2回中の2回)。

 

海のゴミとして発見された1964年の東京五輪時に作られたお菓子の容器!

「岩のすきまにペットボトル」海中ゴミが気になり

2018年から福岡県宗像市で、海女として働き始めた元高校教師の本田藍さん。最初のころは、海の美しさに感動する毎日でした。

 

ところが、仕事に慣れるうちに、少しずつ海中に落ちているゴミが気になり始めます。

 

「すごくきれいな海でも、よく見ると岩のすきまにペットボトルなどが挟まっているんですね。だから、漁の合間にできる範囲でゴミを拾うようになりました。

 

最初は漁場まで船に乗せてくれる元海士のおじいちゃんに“獲物も獲れてないのに、ゴミ拾って遊んでるんじゃねえよ”なんて言われて、ぐうの音も出ない感じでしたが(笑)」

 

それでも気になり、コツコツと拾っていましたが、毎日続けてもゴミはまったく減りません。変わらない状況に、次第に無力感を抱くようになりました。

 

短時間でトラック1台分のゴミが集まる

あるとき、同じ地域で働く漁師が集まる、地域の飲み会に参加しました。

 

そのときに知り合った漁師歴20年以上の権田幸祐さんから、なにげない話題のひとつとして「俺、海のゴミ拾いたいんだよね」と言われたのです。

 

「そのとき、“同じことを考えている人がいた!”と、はじめて仲間を見つけた気分でした。それまで私のまわりには、ゴミに関心を抱く人がいなかったので。

 

権田さんは代々漁業を生業とする方で、乗っていたまき網船の先代船団長が “海で仕事をする以上、海にゴミは捨ててはいけない”考えだったそう。

 

以前は、ゴミを捨てても、潮で流せばきれいになると考えられていたようです。

 

だから、先代の主張は、当時にしては先進的だったようです。権田さんもその思いを受け継ぎ、海に浮いたゴミや打ちあがったものを拾っていました」